「小売業のサプライヤーへの要求は3つしかない」――と喝破するのは、あるメーカーのトップだ。①同じ商品ならより安く、②同じ値段ならより高機能、③サービスとリベートは可能な限りもらう、というもの。どの小売業も同じ要求を出すから、結局、店舗は同質化の道を辿ることになる。
現在、多くの小売業がシフトを進める製造小売化は、その同質化からの脱却を図るものである。しかし、プライベートブランド製造を委託するメーカーに対しても、小売業は同じ3つの要求を出すようになり、そこから生まれる製品に突出した差別化要素は備わりにくい環境を自らつくりだしている。
食品スーパーには、万人が欲しがる商品を万人に販売する企業が多いが、セブン-イレブン・ジャパンや良品計画、米国のコストコ、ホールフーズ、トレーダージョーズのように、「誰に何を売るのか」、明確な考え方を持つ企業の方が概ね調子はよい。時代が大きく変化している中で差別化を図りたいのであれば、3つの要求も変化に対応する形で変える必要がある。
『チェーンストアエイジ』誌2014年7月1日号