最近の食品スーパーの売場には、大抵、メニュー提案コーナーがある。
食品スーパーに買い物に訪れる多くの消費者の《夕餉の主菜》が決まっていないことに対する解決策だ。
メニュー提案コーナーでは、店内に簡易キッチンを設置して、簡単においしくできる料理をつくり、試食してもらうことで、消費者にその日の夕飯のヒントを提供している。
このメニュー提案コーナーを、ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)、平和堂(滋賀県/夏原平和社長)、オークワ(和歌山県/神吉康成社長)、ハローデイ(福岡県/加治敬通社長)、イトーヨーカ堂(東京都/戸井和久社長)、イズミヤ(大阪府/四條晴也社長)は「クッキングサポート」と呼称。カスミ(茨城県/藤田元宏社長)は「クッキングコミュニケーション」、阪食(大阪府/河村隆一社長)は「キッチンステージ」と名付けている。
多くの企業がさまざまな名称でこうしたコーナーを展開して、消費者の購買意欲をくすぐっているのだ。
ある企業で聞いたのは、メニュー提案コーナーでメニュー提案するのではなく、商品紹介をしたところ非常によく売れたという話だ。
紹介したのは、通常のNB(ナショナルブランド)商品ではなく、バイヤーが市中を駆けずり回って探してきた高質・高価格の商品。代表例は、350gで500円のドレッシングで、1日で10数本売れた。
「思い入れをもって仕入れた商品も、棚に埋もれてしまうとまったく動かなくなってしまう。そうした逸品にスポットを当て、今後も継続してメニュー提案コーナーで紹介していきたい」とその企業の商品部長は言った。
サミット(東京都/田尻一社長)のいくつかの店舗には「おためし下さい」という試食専用の対面式カウンターを設置し、加工食品や飲料などを提供しているけれども、メニュー提案コーナーにも新しい運用方法があるのだとハッとさせられた。
確かに、それなりの投資をして相当の売場を割き人件費をかけ、コーナー化しているのだから、ここで新しい取り組みが出てくるのは自然の流れかもしれない。
売場同様、メニュー提案コーナーも進化する、ということなのだろう。