毎度のことながら、都内のゴールデンウイークは、どこに行っても目茶目茶混んでいた。
にもかかわらず、何を間違ったか、5月4日に浅草雷門前で待ち合わせをしたら大変な目にあった。
まず、地下鉄のホームから地上に出るのに一苦労。次に、雷門にたどり着くまでもが大仕事となり、実に浅草駅到着から10分近くかかってしまった。さらにさらに、雷門前は立錐の余地もない大混雑で、身動きも取れない。携帯で連絡を取り合いながら、やっとこさ相方に巡り合えた。
混雑する浅草で思いがけず目にしたのは、細い路地を歩く4人の人間模様だ。
私が見たときに先頭を切っていたのは、杖をついた老人でそろりそろりとしか歩けなかった。
2番手は、シルバーカーの老婆だ。足取りはおぼつかないものの、杖の老人よりは速く、右側から追い越しをかけた。
その後ろは、杖にもシルバーカーにも頼らない老人で、「チェ」と舌打ちしながら、さらに右側から追い越そうとする。
一番右側の狭いところを、一挙に走り抜けていったのは、高校生くらいの若者だった。
すなわち、浅草の狭い路地は、一瞬、一方通行の4車線と化していた。
そんな光景を見ながら、ブルーハーツのヒット曲『トレイン トレイン』を口ずさんだ。
弱い者たちが夕暮れ、さらに弱いものを叩く――と。