人手が足りない。ゼンショーホールディングス(東京都/小川賢太郎社長)の展開する「すき家」は約170店舗を改装したものの、店舗従業員が集まらず、100店舗以上が再オープンできない。ファーストリテイリング(山口県/柳井正社長)やイケアジャパン(千葉県/ピーター・リスト社長)がパート・アルバイトの正社員化を発表しているが、これも人材不足克服策と見る向きが大きい。
もちろん、チェーンストアの多くは人材確保に向けて様々な知恵を絞っている。「採用祝い金」を支払っているのは居酒屋「白木屋」「笑笑」などを展開するモンテローザ(東京都/大神輝博社長)だ。地域・期間限定ながらアルバイトが実働14日間を勤務すると6000円が支給される。「塚田農場」を展開するエー・ピーカンパニー(東京都/米山久社長)は学生アルバイトを対象に就職支援を実施。同社の店舗に企業の経営者や採用担当者を招き、アルバイトの活躍ぶりを見てもらい、スカウトされる機会をつくっている。
それでも人が取れない。アベノミクス効果か? 少子高齢化のツケか? さにあらず。労働環境同様、流通業の人手不足の主因は、低生産性にある。売上額に対して利益が圧倒的に少ない。各社が一斉に舵を切る製造小売化の目的のひとつは、この打開にあると言っていい。異業種に買い負けぬ魅力的な賃金を払える企業であることが求められている。
『チェーンストアエイジ』誌2014年5月15日号