「何%を取ると市場を制することができるのか?」。《市場》をいかに定義するか、ということも含め、究極の難問だ。仮に100%を制し、独占市場になった場合にも市場を制したとは言えないだろう。国営企業よろしく自己革新を怠り、自ら沈んでいく可能性が大きいからだ。企業や市場が健全な成長を遂げるために健全な競争が必要であるならば、市場の25%程度を制する者同士がしのぎを削っている状態が最も健全のような気もする。
さて、日本の小売業界も寡占化に一直線の様相を見せている。中心にいるのはイオン(千葉県/岡田元也社長)だ。とくにGMS(総合スーパー)、食品スーパー、ドラッグストアの分野での集中度は注目に値する。ただ、どんなにシェアを奪っても消費者から見捨てられた瞬間に代替企業が台頭する。その意味では、企業にとっては、シェアよりも、消費者のニーズ・ウォンツに的確に応える継続革新こそが重要だと言える。
国外に目を向けると、米国の小売業界は、日本よりも一足先に寡占化が進んでいる。だが、王者であるウォルマートも絶対的な存在とは言えず、いつ何時に転んだとしても不思議ではない。同業の強豪は多々存在するし、アマゾンのような異業もある。そして、こんなふうに考えると、自由経済下においては、何%を取ったとしても市場を制することはできないのかもしれない。
『チェーンストアエイジ』誌2014年5月1日号