昨日は、生まれて初めて、大腸検査をした。
大腸検査は、検査日の前日から始まる。
前日は、朝食を食べても構わないが、昼食・夕食は、事前に渡された「大腸内視鏡検査食」なる食事を摂らなければならない。レトルトパックが3つと、クラッカーのセット。超大手メーカーが販売しており、食べてみれば、まったくまずくはないのだが、パッケージに「大腸内視鏡検査食」と印刷されているのを見るだけで食欲は減退する。
人間とは、不思議なもので、自分の意思で食べないことは、案外と我慢できるのだが、「食べてはいけない」と強制されると無性に腹が減る。
長く起きていても腹の虫は鳴り、腹の虫の居所が悪くなるので、事前に渡された下剤を飲んで21時前に寝てしまうことにした。
翌朝。いつもより1時間早く4時に起きて、パソコンに届いた仕事を一通り済ませてから、出発。9時30分に病院に到着する。
すると、2リットルの下剤を、2時間かけて飲むように指示が出た。スポーツドリンクのような味の液体を延々と、飲み始めた。
けれども、なかなか便意は下りてこない。
開始から1時間30分後、一旦、便意が下りてくると、待合室とトイレの往来を延々続けなければならなくなった。
下剤を飲むのに2時間、トイレの往来に2時間。気が付けば4時間が経過。すでに13時30分だ。
「では、これから検査を始めます」とようやく担当医が登場――。
《『地獄の黙示録』の主役、マーロン・ブランド演じるカーツ大佐でさえ、上映2時間後には出てきたぞ》。
お尻側に穴のある下着に着替え、点滴を打たれ、麻酔を打たれ、14時。
やがて、うとうとし始め、起きたところで、全部終了したと言われた。
「おや、起きたかい? 大丈夫。何もなかったから」。
ホッとするよりも、4時間かけて用意したのにあまりのあっけなさに、拍子抜けした。
時間を確認すると14時30分だった。
30分くらい安静ということで、その場で寝かされた後、改めて画像を見ながら、説明を聞き、「また2年後にやりましょう」と言われて、病院を後にした。
時計を見れば15時30分。胃も腸も空っぽで、さすがにお腹が空いたので、ランチをしてから帰路に着いた。
《目、歯、胃、人間ドック…1日がかりの検査に1年間のうちの数日を当てなければいけない。加齢とはこういうことなんだ》。
と自分に言い聞かせた。