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消費税増税前後譚

 3月末のこと――。

 自宅周辺のドラッグストアでは、トイレットペーパーやボックスティシューの欠品状態が続いていた。

 消費税増税前の“駆け込み需要”の影響を受けたためだろう。

 

 ただ、オイルショックの時と異なっていたのは、棚に商品が何もないということはなく、欠品していたのは、「12ロール198円」のトイレットペーパーや「200枚×5箱198円」のボックスティシューといった安い商品のみだったことだ。

 同398円や同298円などの相対的に高い商品は、ほぼ動いていないようも見えた。

 

 消費者は、1アイテム6円の安さのために、まとめ買いに走ったのか、とちょっと驚いた。

 買い置きを5つしてもその差は、わずか30円。ならば、店頭在庫をなくすほどに“乱買”をしなくてもいいのではないかと考えたからだ。

 

 本当に必要とする消費者に行き渡らなくなってしまう事態をちょっと想像すれば、買溜めは控えるといった行動に出ても良いのでは、と批判的に見てしまった次第だ。

 

 さて、4月6日に、同じ店を訪れると、「12ロール198円」「200枚×5箱198円」の同じ商品が両方とも178円で売られているのを見てまたびっくりした。

 しかも、増税前よりも20円も安い商品の店頭在庫は満タン。うず高く積まれたままだった。

 すでに十分な買溜めをし、自宅に在庫のヤマを抱える消費者が消費税増税直後の店舗を訪れることはないからだろう。

 

 もしこれが、そのドラッグストア企業、店舗の在庫コントロール面での“駆け込み需要”対策と価格面での競合店対策なら、「アッパレ」と言いたい。

 

 でも、買溜めした消費者が、この店頭を見たら、不信感を持つとともに怒ってしまうだろうな。