一般的に販売されているカレールウは、「甘口」「中辛」「辛口」と辛さによって種類が分けられている。また、リーズナブルな日常づかい向けのもの、スパイスの効いた本格派、高級感のあるプレミアムタイプなどメーカーごとにルウのコンセプトは異なる。おいしいカレーをつくるためには、それぞれの特徴を知っておくことが欠かせない。カレー専門家・一条もんこ氏が、カレールウの選び方とおいしくつくるためのコツを解説する。

甘口ルウの選び方
原材料の甘み成分を要チェック!
パッケージにフルーツやはちみつのイラストが描かれている商品は、甘さを強調していることが多く、甘口の中でもとくに甘みが強くなりやすいです。一方で、スパイスを前面に押し出しているものは、香りや辛さが中心となり、甘さは控えめになる傾向があります。
また、原材料表示に砂糖やチャツネ、乳製品などの甘み成分が多く含まれている場合、より甘さが際立ちます。原材料は多く含まれる順に記載されているため、これらの成分が前のほうに書かれていれば、そのぶん甘みが強く、まろやかな味わいになりやすくなります。
中辛ルウの選び方
自分の好みの風味を知ろう!
中辛のルウはもっともベーシックな味わいだからこそ、ベースとなる風味が肝心です。炒め玉ねぎが使われていればコクや甘みが強く、ブイヨンやフォンドボーが含まれていれば味に深みが増します。また、スパイスの種類が豊富なものは、香りが華やかで本格的な仕上がりになるでしょう。
商品のパッケージは、こうした特徴を一目で伝わるように商品の特徴が色やデザインで強調されていることが多いです。色づかいやイラスト、記載内容から、自分の好みに合うポイントを探してみましょう。
また、ルウのクオリティを左右する要素として、価格によって使用される調味料の種類や量が変わる傾向があり、高価格帯の商品ほど旨味やコクがより深くなります。
辛口ルウの選び方
パッケージの数値やマークを参考に
同じ「辛口」でも、感じ方には個人差があります。中辛で辛く感じる人もいれば、辛口でも物足りないと感じる人もいます。
多くのメーカーは、辛さを数値やマークで表記しており、数値が高いほど辛い傾向があります。ただし、メーカーごとに辛さの基準が異なるため、一概に比較はできません。
また、スパイシーさを強調した本格派のルウの中には、甘口でもピリッとした辛さが感じられるものもあります。パッケージに唐辛子のデザインや、辛さを連想させる言葉が目立つ商品ほど、辛みが強い傾向があります。さらに、とくに辛さをアピールしたい商品には赤や黒が多く使われており、見た目からも判断しやすいです。
家庭のカレーをおいしくつくるためのコツ
家庭でおいしいカレーをつくるには、まずルウの箱に記載されたレシピ通りの分量で調理することです。とくに玉ねぎを炒める際は、量が1/3ほどになるまでしっかり炒めると、甘みが増してコク深いカレーになります。
また、ルウを入れる際には、一度火を止めて溶かすことが重要です。これは、ルウの融解温度(65〜75℃)に近づけて、なめらかに仕上げるためです。さらに、ルウを加えた後の煮込み時間は長すぎないほうが、スパイスの風味をしっかりと残せます。
カレーはできたての時は香りが際立ち、具材にまだ味が染み込んでいないため、フレッシュな味わいが楽しめます。一方、調理後1〜2時間ほど置いてから再加熱すると、具材に味がよく染み込み、よりコクのある味わいになります。
カレーの隠し味に適しているのは乳製品!
家庭でつくるカレーでは、調味料などで隠し味を加える人も多いでしょう。カレーをまろやかにしたい場合は、乳製品がおすすめです。代表的なものとしては、牛乳や生クリーム、ヨーグルト、スキムミルクを入れると口当たりがやさしく仕上がります。
逆に、辛味や酸味を加えて味を引き締めたい場合は、タバスコや豆板醤を加えるのが効果的です。どちらにも唐辛子を含む発酵食品のため、カレーに深みをもたらします。
隠し味で大切なのは、あくまで”隠し”であることです。よくある失敗として、隠し味のつもりで入れた調味料の量が多すぎるとそれ自体の風味が強くなり、カレー本来の風味を損なうことがあります。もし調味料や食材を加えるなら、少しずつ加えて都度味見をすると失敗しにくいです。
カレーは、ちょっとしたひと手間で味の印象が大きく変わります。自分オリジナルの味わいを探してみるのも楽しいでしょう。