京都・寺町、明治時代創業の老舗飲食店で味わう人気メニュー「田舎そば」

2025/05/05 05:55
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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地元民に愛される老舗「永正亭」の「田舎そば」

 私がこの店に来るのは大抵が昼時で、暖簾をくぐると十中八九、数人が並んでいる。利用しているのは観光客というよりも、半数以上が地元民との印象。食事を済ませるとすぐに店を出る人がほとんどだから、回転がはやくすぐに座ることができる。この日も、ほんの数分待つだけで従業員のお姉さんに案内された。

店内は横幅が狭く、奥に長い。京都の典型的な「うなぎの寝床」
店内は横幅が狭く、奥に長い。京都の典型的な「うなぎの寝床」

 店は横幅が狭い一方、奥に長い、京都ならではの典型的な「うなぎの寝床」の形状。私は一番奥、厨房の手前の席に座った。すぐにメニューを手にとり、何を食べるかを検討し始めた。

メニューを見ると、どれもリーズナブルだ
メニューを見ると、どれもリーズナブルだ

 毎回思うが、このお店、ものすごくリーズナブルなのだ。「生そば450円」、「あんかけ470円」「ざるそば570円」など、値上げが相次ぐ時代にあっては、そのありがたさが光り輝きまくっている。

 最終的に選んだのは人気の「特田舎そば 天ぷら入830円」である。選んだと書いたが、実は、悩みに悩んだ挙句、大抵これに落ち着く。毎回、新しいメニューにチャレンジしようと思いつつ、踏み切れない。いつか自分の背中を押してあげたいと思って早何年。なお一緒に来た知人は「カレーうどん620円」を注文した。

私が注文した「特田舎そば 天ぷら入830円」
私が注文した「特田舎そば 天ぷら入830円」

 78分が経過し、私の目の前に置かれたのがこれ。どうです、おいしそうでしょう。テーブルにある割り箸を手に取り、麺を少しつかんで口へ運ぶ。うん、おいしい。何ともいえない優しい味が口いっぱいに広がる。続いてえびの天ぷら。さくさくした衣の食感が最高である。どんどん食べ進み、そして完食、大満足である。

 知人が注文したカレーうどんの写真もアップしておく。店内を見回すと、これを頼んでいる人も多く、隣席の若い女性も食べていたことをお伝えしておく。

知人が頼んだ「カレーうどん620円」。これを頼んでいる人もかなり多い
知人が頼んだ「カレーうどん620円」。これを頼んでいる人もかなり多い

 なおこの永正亭、ネットで調べると創業は明治23年(1890年)との情報が結構出てくる。店の公式サイトがないため、真偽のほどはわからないが、かなりの老舗なのだろう。明治23年に起こったできごとを調べると、第1次山県有朋内閣の下で、第1回帝国議会が召集された年とある。

 京都の街を散歩し、歴史に触れた後にここで食事をするのも味わい深い体験だと思う。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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