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専門家が教える! 家庭の焼肉をおいしく楽しむためのコツとは

家庭で焼肉をする際、実は少しの工夫でその味わいは大きく向上する。おいしさのカギを握るのは「プレート」「肉」「たれ」の3つの要素だ。焼き始める前にこれらをしっかり選び、準備を整えることで、家庭でも本格的な焼肉を楽しめる。日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクターの松浦達也氏に、家庭の焼肉をワンランク上げるためのコツを聞いた。

焼肉をおいしくする「焼き目」の重要性

 焼肉の味を左右する大きな要素が「焼き目」です。焼き目がないと、どんな極上の肉であっても味わいが半減してしまいます。逆に、質が劣る肉でも適切な焼き加減で焼き目をつければ、おいしく仕上がります。

 そのためには、まずプレート選びが欠かせません。最低でも210度以上に設定が可能なプレートが必要となります。味を最優先するなら、業務用で一般的な「スリット入り鉄板のガスロースター」が最適です。プレートにあるスリットによって脂が適度に落ち、高温の直火で焼き目をしっかりつけることができるためです。

 ただし、このタイプのプレートは高温になるがゆえに油煙が発生しやすく、室内では匂いが残るという課題があり、最近は家庭向けとしてはあまり使われなくなっています。

 最近、家庭向けで人気が高いのが、岩谷産業の「カセットガス スモークレス焼肉グリル やきまるII(以下、やきまる)です。やきまるはガスボンベ式で、火力を煙が発生するギリギリの温度、210240度に調整することができます。さらに溝を施した独自の樹脂加工プレートを採用しているため、軽く焼き目をつけながら、煙の発生を最小限に抑えられるのも特徴です。これらの点が高く評価され、同商品は2016年の販売からシリーズ累計200万台以上の販売実績を記録しています。

 

プレートを選ぶ際のポイント

 プレートでもう一つ重要なのは、「肉の下に脂が溜まらない構造」になっていることです。「やきまる」はなだらかな山型プレートに溝がついており、脂が自然に流れる仕組みになっています。適度な脂は熱を均等に伝え、焼き目をつけるのに役立ちます。

 しかし、脂が過剰に溜まると肉が煮えるような状態になり、理想的な焼き目がつきません。適度な脂の層を介して高温で焼き上げることが、焼肉をおいしくするコツです。

 近年、「象印マホービン」や「タイガー魔法瓶」などの大手メーカーのホットプレートが劇的な進化を遂げています。これらのメーカーの製品は、鉄板に波型のエンボス加工やスリットが施されており、脂が適度に流れる工夫がされています。

ただし、高火力の電気ホットプレートは、200度以上に達するまで20分ほどかかるものもあります。そうした商品を使う場合は、食べ始める時間を見越して、あらかじめスイッチを入れて予熱しておくとよいでしょう。しっかり温まったプレートで焼くことで、焼き目がつき、より一層焼肉を楽しめます。

 

焼肉を楽しむための肉の選び方

 焼肉に適した肉は、水分が適度に抜けています。焼肉店など肉を調理する現場では、「今日の肉はよく乾いていていい状態だ」と話したりします。肉を焼くことにおいては「適度に乾いた肉≒いい状態の肉」なのです。適度に水分が抜けた肉は、おいしさの決め手のである焼き目がつきやすいのです。

 また、日本のコールドチェーンは発達しているため、一般的に国産牛は輸入牛に比べて鮮度が保たれていることが多いです。調理の最終工程を調理者ではなく、食べ手自身が行う焼肉にこそ、いい状態の肉が必要なのです。

 そのほか、肉の厚さも重要なポイントです。同じ重量なら、枚数の多い薄切り肉を選びたくなるかもしれませんが、薄切りの肉は、焼き目がつく前に内部まで火が通りやすく、焼き加減が難しくなるため注意が必要です。ステーキほどの厚みは必要ありませんが、23mmの薄切り肉より、78㎜程度の厚さがある肉のほうが、表面に焼き目をしっかりとつけつつ、内部もいい塩梅に火を通しやすくなります。

 予算や好みにもよりますが、オーストラリア産の牛肉に多いグラスフェッド(牧草肥育)は、日本の焼肉にはあまり向きません。焼肉のたれに多い甘辛い味には、穀物肥育の牛肉がよく合います。とくに黒毛和牛が持つ「和牛香」と呼ばれる独特の香りは、焼肉に最適です。

 とはいえ、和牛はサシが多く、脂の風味を強く感じる人もいるかもしれません。その場合は、好みに応じて国産牛やUSビーフを選ぶのもよいでしょう。国産牛とUSビーフを比較すると、国産牛は焼き目がつきやすい肉が多い一方で、USビーフには深みのある味わいを持つ肉もあります。

 

焼肉をおいしくするたれの選び方と使い方

 スーパーマーケットなどの売場に行くと、さまざまな種類の焼き肉のたれが並んでいます。どんな肉にも合うように、濃い味付けのたれが多く品揃えされていますが、味が濃すぎるたれは素材の風味を損ねてしまいます。

 おすすめは、冷蔵コーナーで販売されている「生」タイプのたれです。

 大手メーカーだけでなく、地域限定のローカルブランドや小規模事業者のたれにもいい商品があります。「無添加」「非加熱」「生だれ」といったキーワードで、素材にこだわったたれを探してみるのもいいでしょう。もみだれとして使う場合は、量を少し控えつつ、漬けこみすぎないよう、調理直前に軽くもみ込む程度にすることで、肉本来の味を生かせます。

 たれが決まれば、あとは焼くだけです。表面に焼き目をつけつつ、焦がさぬよう、じっくり火を通せば、きっとおいしい焼肉が楽しめます。(談・文責=ダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集部)

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