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B-1グランプリと食品流通業

「ご当地グルメでまちおこしの祭典!」を謳うB-1グランプリは、すでに随分と定着した感がある。第1回の開催は2006年。今年11月に愛知県豊川市で開かれた「豊川大会」は第8回大会に当たる。

 

 過去のゴールドグランプリ受賞者を列挙していくと…

 

 第1回 富士宮やきそば学会(静岡県富士宮市)

 第2回 富士宮やきそば学会(静岡県富士宮市)

 第3回 厚木シロコロ・ホルモン探検隊(神奈川県厚木市)

 第4回 横手やきそば暖簾会(秋田県横手市)

 第5回 みなさまの縁をとりもつ隊(山梨県甲府市)

 第6回 ひるぜん焼そば好いとん会(岡山県真庭市)

 第7回 八戸せんべい汁研究所(青森県八戸市)

 第8回 浪江焼麺太国(福島県双葉郡浪江町)

 

 という具合になっている。

 

 祭典の直後に食品スーパーにいくと、早速、ゴールドグランプリのメニューを提案している企業があり、提案力とスピード感に驚かされたりする。

 しかしながら、売場が存在するのは僅かな期間に過ぎず、生き馬の目を抜く食品小売業の競争の厳しさを実感させられるところだ。

 

 その結果、地元に短期的には一定の経済効果をもたらす一方、毎年、束の間に次々と消費され、忘れ去られていくような状況を惹起している。

 

 もちろん、その年のゴールドグランプリ受賞者とメニューにとっては、クローズアップされ、売場化されたほうがいい。

 

 ただ、主催者である一般社団法人 愛Bリーグ(静岡県/渡邉英彦代表理事)の目的は、料理を通じて「地域をPRする」ことにある。「日本最大規模のグルメイベントを開いているのではない」という主張に今一度耳を傾けたい。

 

 食品スーパーも、3~4週間単位で売場をつくるのではなく、もっと長期的、育成的な視点で、料理を取り上げ、提案するとともに、地域振興にも貢献できる方法がないかを探ってみたいところだ。

 

 いろいろなB-1グルメが出てきたけれども、結局、地域集客力が高いのは、以前から知れ渡っているメニューの芋煮(山形県)、松前漬(北海道函館市)、餃子(静岡県浜松市、栃木県宇都宮市)…ばかりというのではあまりにもさみしい。