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米のプロが解説 相場高の今買うべき「コスパ最強の米」はこれだ!

米価の高騰が続くなか、「コスパのいい米を探したい」という声が増えている。1930年創業の老舗「小池精米店」(東京都渋谷区)の三代目で、米に関する専門職の中で最高位の資格「五ツ星お米マイスター」を持つ小池理雄氏にコスパ最強米の選び方を解説してもらった。

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「コスパのいい米」は存在するのか?

 小池精米店では、飲食店向けの米が売上の8割近くを占めています。最近は飲食店のお客さまから「コスパのいいお米はありますか?」と尋ねられることが少なくありません。要するに、「安くておいしいお米はありますか?」ということです。

 しかし、お米の値段は、人気の高さとおいしさが比例していることが多いです。生産者の皆さまは、少しでもおいしいお米をつくるために日々努力を重ねています。小池精米店が扱うお米のほとんどは生産地から直接仕入れる「産直米」で、生産者の皆さまの努力を間近に感じながら販売しています。

 そのため、「安くておいしいお米がほしい」という問い合わせを受けるたびに、「そんな都合のいいお米なんてない。簡単に『安いものを、安いものを』と言わないでほしい。農産物の向こう側には生産者の生活があるんだ」と心の中でつぶやいてしまいます。

 ただ、これは5年ほど前までの話。今なら安くておいしいお米があるのです。

収穫量を増やしても味が落ちない「つきあかり」

 お米は農産物であるため、単位面積あたりの収穫量が多ければ、それだけ価格は安くなります。ただ、従来は収穫量を優先すると味が犠牲になり、味を重視すれば収穫量を抑えざるを得ないのが当然でした。

 しかし最近では、収穫量を増やしても味が落ちないお米が登場しています。代表的な品種としては「つきあかり」「にじのきらめき」「あきだわら」などがあります。とくに人気なのは「つきあかり」です。取り扱い量は5年前と比べて5倍以上に増え、コストパフォーマンスの高さが評価されています。

 冒頭のようなお問い合わせをいただくお客さまに紹介すると、ほぼ100%の確率で採用されるほど。まさに、これこそがコスパのいいお米と言えるでしょう。

 「つきあかり」は関東圏の一部の食品スーパーで販売されていますが、全国的に流通しているわけではなく、小池精米店でも一般消費者向けの取り扱いはありません。これは、「知名度が低いためお客さまが選ばない」「業務用としての需要が高く、数量に余裕がない」といった理由によります。

 

今、ブランド米こそがコスパ最強?

 意外に思われるかもしれませんが、最近はブランド米が「コスパのいいお米」になりつつあります。「魚沼産コシヒカリ」「山形県産つや姫」「北海道産ゆめぴりか」「福井県産いちほまれ」「新潟県産新之助」など、知名度の高いブランド米は、もともと高価ですが、価格とおいしさが比例しているため、高価格なのは当然です。

 しかし、こうしたブランド米こそ、今まさに「コスパのいいお米」になっているのです。

 昨夏に発生した「令和の米騒動」の影響で、足元のお米の価格がどんどん上がっています。新米の時期を過ぎても米価が下がらないという異例の事態が続いており、「比較的知名度の低い産地のコシヒカリ」は、一昨年の「魚沼産コシヒカリ」並みの価格に跳ね上がっています。

 一方、もともと高価なブランド米は需要の急増がないため、値上がり幅は比較的小さく抑えられています。そのため、現在のような異常事態では、ブランド米こそがコスパのいいお米ということになるのです。

 さらに、生産者が丁寧に栽培した無農薬・減農薬栽培の高品質なお米も、価格の上昇はさほど見られません。たとえば、「比較的知名度の低い産地のコシヒカリ」は倍以上の値段になっているのに対し、小池精米店で販売している無農薬栽培のコシヒカリは、値上がり幅がわずか15%にとどまっています。

 今や、以前は安価で販売されていた「あきたこまち」や「ひとめぼれ」、そして比較的知名度の低い産地の「コシヒカリ」と、前述したようなブランド米の価格差はほとんどなくなりつつあります。

 選択肢が多いと迷うかもしれませんが、この記事を参考に、価格以上に満足できるお米を見つけて欲しいところです。

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