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追悼 本田昌也さん (『チェーンストアエイジ』誌誌面から)

 ホームセンター業界では、ジョイフル本田(茨城県/矢ヶ崎健一社長)を知らぬ者はいない。わずか15店舗を展開するに過ぎないが連結売上高は1768億円(2013年6月期)を計上するビッグカンパニーだ。特徴は1店舗当たりの規模にある。敷地面積3万~4万坪、売場面積4万㎡、取り扱いアイテム数22万、駐車台数3500台、売上高150億円超――。消費者の度肝を抜くようなスケールのビジネスで長く業界を牽引してきた。

 

 その創業者である本田昌也さんが亡くなった。83歳。家業の材木商を離れ、ジョイフル本田を設立したのが、1975年のこと。顧客第一主義を貫いた。商品回転率が1に満たない商品もしっかり揃え、接客を重視し、製造小売業化を進め新奇な商品や安価な商品の開発に注力。「ガマンの経営」を謳い、「結果(=業績)は後からついてくる」を信念とした。オリジナリティの重要性を強調し「日本の小売業はモノマネが多すぎる。しかし、モノマネは長続きしないし、身に付かない」と警鐘を鳴らした。

 

 現場主義の人だった。「売場は生きているので、継続させるには、しょっちゅう何か手を掛けないといけない」と休暇を取ることはほとんどなく売場巡回を続けた。中途半端を嫌い、規模を重視し、ものづくりに取り組んだ豪傑は、売場で倒れそのまま帰らぬ人になった。本田さんは最期まで本田さんだった。合掌。

 

『チェーンストアエイジ』誌2013年11月1日号