エー・ピーカンパニー(東京都/米山久社長)が首都圏に13店舗を展開する居酒屋「塚田農場」の接客が素晴らしいという話を聞いたので記しておきたい。同社については、2011年2月15日のBLOGでも紹介しているので、こちらもご覧ください。
http://diamond-rm.net/articles/-/3710
まず、入店すると、テーブル担当の女性従業員が迎えてくれる。とってもフレンドリーでやさしい。すでにその段階で「塚田農場」のファンになってしまうのだという。
すかさず女性従業員は、「本日、当店に初めていらっしゃった方はいますか?」と尋ねる。
手を挙げると、初来店のお客には名刺をつくってくれる。名刺に記す名前は、本名でもニックネームでも構わない。
肩書きは、「主任」だ。「平」ではなく、「主任」スタートというのが何とも嬉しい限り。「係長」からスタートする場合もあり、そこのさじ加減は、従業員に任せているようだ。
以降、3ヶ月以内に再来店することを繰り返すと、古くは「のらくろ」最近で言えば「島耕作」のように「係長」→「課長」→「部長」→「社長」と出世する。
昇進するたびに、店では新しい名刺を制作してくれ、来店時の肩書きに応じて、「つまみ1品」など、受けられるサービスはどんどんランクアップしていく。
冷静になって考えてみれば、やっていることはポイントカードと変わらないのだが、同じ手法でも、見せ方を変えれば、受け手の捉え方は随分違ってくることが分かる。
何より、サラリーマンのちょっとした自尊心をくすぐっているところが憎い。
バイトの従業員には、時給とは別に毎月5000円の販売促進手当が支払われている。これを使って、従業員が個々にお客を喜ばすアイデアをひねり出し、ファンづくりに努める。
ある女性従業員は、ハート型のシールを精算時に「今日のお礼」として手渡す。メロメロになってしまう殿方も多いことだろう。
また、個人的な販売促進とは別に「塚田農場」のステッカーをケータイに貼らせて欲しいなんていうお願いもあるそうだ。
チェーン店でありながらも、「あの娘がいるからつい通ってしまう」という“馴染みの店”的な雰囲気をつくり、個人店のよさも取り込んでいる――。
そうそう。ちゃんと記しておかねばならないのは、こうしたサービスを語る前に「塚田農場」の料理はとても美味しくて安いということ。とくに生産者直結で調達している「地頭鶏(じとっこ)」は逸品だ。
物販小売チェーンも負けてはいられない。