今回は、コーヒー店でモーニングセットをいただくというお話である。行き先は京都府庁。なぜお役所へ?と不思議に思う人もいるかもしれないが、実は明治時代に建てられた府庁の旧本館内に、雰囲気のよいカフェがオープンしているのだ。早速、現地へ向かうことにする。

明治に建てられた府庁旧本館
降り立ったのは京都市営地下鉄烏丸線の「丸太町」駅である。2番出口から烏丸通を北へ進む。右手には京都御所。誰でも自由に立ち入ることができ、日中は市民の憩いの場になっている。
しばらく行くと左手に菅原院天満宮神社が現れる。「学問の神様」として知られる菅原道真公誕生の地で、境内には産湯に使われたという井戸が今も残っている。道真公が祀られていると言えば、北野天満宮が有名だが、こちらの神社の方も学業成就のご利益があり、かつ混雑していない。なので地元民としてはおすすめする次第である。
最初の信号の「烏丸下立売(からすましもだちうり)」交差点を左、つまり西に曲がり、約300m歩くと京都府庁に到着。門の横には「明治天皇行幸所京都府庁」と記された石碑が立っており、歴史ある場所であることを実感できる。
敷地内へ。真正面に見えるのが、明治37年(1904年)に建てられたレンガ造りの京都府庁旧本館。圧倒的な存在感で、国の重要文化財にも指定されているというのも納得できる。
建物内部は異空間ですよ。120年前の空気が漂っている感じがして、自然と背筋が伸びる。
すぐにカフェへ、といきたいところだが、旧知事室が公開されているらしいので、まずは2階へ。部屋に入ると、案内担当のスタッフが2名配置されており、いろいろとお話しを伺った。写真を撮影しても、ネットにアップしてもよいとのことだったので、こうして紹介できているわけだ。
部屋の奥、窓際に置かれているのが、知事が使っていたデスク。重厚で、要職にあった人物に相応しい貫禄ある風貌だ。天井を見上げると、上品なデザインのシャンデリアがぶらさがっている。旧本館は昭和46年(1971年)まで使われていたと書かれていた。
いよいよカフェへ。1階へ移動し、長い廊下の先にあるのが「salon de 1904」。オープンは2023年7月。店を運営しているのは1971年創業の老舗コーヒー店の「前田珈琲」だ。地元では有名で、あちこちに雰囲気のよい店がある。ちなみに店名の一部にある「1904」は、旧本館が建てられた1904年に由来する。期待に胸を膨らませ、店内に入った。
早速いただく
女性店員に来店したことを伝えると「お好きな席へどうぞ」と案内された。時計を見ると午前10時。実は以前にも利用したことがあり、この時間帯は空いていることを知って来たのだった。
部屋は3つあり、真ん中の部屋の窓際に座ることにした。なお知人と2人連れで、広めのテーブル席を確保した。
メニューに目を通す。「京都府庁 salon de 1904限定 モーニングメニュー」とあり、スペシャル感がうれしい。AからDの4種類があり、私はDの「1904 SPモーニングセット」(1150円)、知人はBの「ツナ玉子サンド」(780円)を注文。いずれもドリンク付で、2人ともホットコーヒーを選択した。
周囲を見回すと、お客はぽつりぽつりとしかいない。やはりこの時間に来て正解だった。窓から朝日が店内に差し込んでおり、ゆったりした気分になれる。
しばらくして私の目の前に置かれたのがこれ。トーストは、京都の老舗ベーカリーショップ「進々堂」のイギリスパン。そこにシーザーサラダ、ポテトサラダ粗挽きウインナーなどが大きめの皿に乗っている。玉子は目玉焼きとスクランブルエッグから選べ、私は後者を頼んだ。どうです、いいでしょう。
早速、トーストからいただく。イギリスパンなので、表面はカリッとしているが、厚めにカットしてあるため、中はもちっとしていて食べ応えがある。続けて、スクランブルエッグ、そしてソーセージを頬張った。もう最高の気分である。
夢中で食べ、完食。コーヒーもとてもおいしかった。知人も大変、満足そうである。しばらく雑談した後、店を後にした。
店を出る頃には、かなりお客でいっぱいになっていた。ランチもよいが、個人的には午前11時まで提供しているモーニングサービスをねらっていくのがよいと思う。