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ドラマロス症候群

《ペットロス症候群》という病がある。

 長年、ともに暮らしたペットを失ったことによるショックが精神的・身体的な症状となって現れる病気だ。

 うつ病や不眠、拒食症、過食症、胃潰瘍など…ペットをなくすことに起因する様々な疾患が確認されている。

 

 同じように最近見られるようになってきたのが《ドラマロス症候群》だ。

 定期的に放映されたお気に入りのドラマの終了にともない、喪失感から体調を崩すことを指す。

 

 かつて、《サザエさん症候群》というのが話題になったけれども、ちょっとこれに似ている。ちなみに《サザエさん症候群》とは、「日曜日の夕方から深夜、特に18時30分からフジテレビ系列で放送される『サザエさん』を見た後、翌日からまた通学・仕事をしなければならないという現実に直面して憂鬱になり、体調不良や倦怠感を訴える症状の俗称」(ウィキペディア)だ。

 

 今年の4月-9月期のように『あまちゃん』(NHK)、『半沢直樹』(TBS)など、視聴者の生活の一部にまで入り込むような作品が終わった後には、《ドラマロス症候群》が発症するリスクが増えるのだそうだ。

 ひとつの物事に人一倍執着できるというのは、悪くない気がするが、そのことで体調を崩してしまっては元も子もない。

 

 さて、昨日、歯肉がんにより87歳でなくなった天台宗北嶺大行満大阿闍梨の酒井雄哉(さかい・ゆうさい)さんは、よく「無始無終」(むしむしゅう)という事を説いていた。

「一つのことが終わったということは、また新しい出発点に立ったということ。物事は連綿と続いていくものであり、始めもなければ終わりもない」。

 

《ドラマロス症候群》かな?

 と自覚症状を感じ始めたら、続編や未知の傑作を期待しながら、「無始無終」を唱えたい。