ロシアのチェリャビンスク州チェバルクリ湖に隕石が落下したことには驚かされた。
しかし、それ以上に驚いたのは、落下の瞬間の映像がとても多く撮影されていたことだ。「You Tube」で検索すれば、実にたくさんの動画を見ることができ、いまは特派員泣かせの「死角のない時代」であることを思い知らされる。
同じように、私たちは、街を歩いていても終始、何かに観察されている。
店舗内しかり、駅構内しかり、行政や警視庁が設置する街頭カメラしかり。そして、普通の人たちが持つスマートデバイスによる撮影しかり…。
安全な街を保持するという意味合いでは非常にありがたいことである。
実際、こうしたシステムが稼働することで、犯罪者を特定し、早期逮捕につながったという実績は枚挙に暇がないほど多い。
また、20年前ほどとの比較で言えば、「殺人」「略取誘拐」などの凶悪事件の人口10万人当たり発生率は確実に下がっている。
そのこととカメラ設置の関連性を証明する手立てはないけれども、少なくとも何らかの貢献をしていることは確かだろう。
ただし、街に死角がないというのも困ったものだ。
すべてのプライベートタイムが誰かに見られているというのは本当に薄気味悪い。
きっと「世界の盗塁王」としてその名を轟かせ、国民栄誉賞を辞退した過去を持つ、福本豊さんなら、「立ちしょんもでけへんようになるからもうやめて」と言うに違いない。