「周年セール」は、ほとんどの小売業が実施している販売促進策である。
チェーンストアの勃興期から逆算すれば、現在は、50周年、40周年、30周年辺りの「創業○○周年セール」が主流なのではないだろうか?
ただ「周年セール」には中毒性があるから要注意だ。
とくに株式を公開している企業は、「周年セール」が成功し、売上が大きくなるほど、前年実績をクリアするために、翌年もやらざるをえなくなる。
そうなると51周年、52周年、53周年…と毎年のように継続せざるをえなくなり、「いったい、50周年の大セールは何だったんだ?」ということになる。
毎年、「創業祭」というタイトルでセールをするのであれば、格好はつくけれども、今度は10年、5年単位に開かれる大セールの有難味は薄れてしまう。
スポーツの優勝チームに便乗するセールも同じだ。前年度につくった売上をクリアするためには、応援しているチームが優勝しなくとも、「残念セール」や「感動をありがとうセール」などをせざるをえなくなっていく。
消費者から見れば、「おたくは、本当はどのチームを応援しているの?」ということになる。
これがセールの中毒性である。
しかも、賢い消費者は、季節催事として恒常的に開かれるセールには踊らされなくなり、衝動買いはせず、必要で安いモノだけを選んで購入するようになる。
本来であれば、「周年セール」や「優勝セール」に取って代わる新しい切り口のセールのアイデアをひねり出したいところ。だが、そのアイデアも初年度に成功すれば、2年目以降は、前年実績クリアのためのセールになってしまうのだろう。