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現実を視よ!

 創業経営者はフリーハンドである。自分の大きな夢を事業という形に具体化して、邁進するのみだ。

 奇想天外な発想は、時に市場に受け入れられず、撤退しなければいけないこともあるだろう。

 だが、自分の信念にしたがい起こした事業だ。失敗しても諦めはつくというものだろう。

 

 それに比べて、同じ“経営”という括りにあっても、リストラ(事業の再構築)執行とは甚だつまらないものだ。

 手枷足枷にがんじがらめにされ、「なんでもあり」の状態で、事業を推し進めることができないからだ。

 既存の体制の中で起死回生の一打を打たなければならないけれども、冷蔵庫の残り物でつくることができる料理は限られている。

 

 「リストラに臨まなければいけない事態に追い込まれているのに、まだ夢を見ている経営者が多い」と嘆くのは、ある証券マン。「安売り原資など捻出できない財務状況であるにもかかわらず、『ディスカウントストアで勝負したい』なんて平然と言ってくる。だからダメなんだと思ってしまう」。

 ファーストリテイリング(山口県)柳井正CEO(最高経営責任者)の新著のタイトルは『現実を視よ』。経営者もいま置かれている現実を直視する必要がある。

 

『チェーンストアエイジ』誌2012年11月1日号