東京メトロ銀座線「外苑前」駅――。
次のアポイントまで1時間ほど時間が余ってしまった火曜日の午後。神宮球場の方に足を向けると、東京六大学野球の秋季リーグ戦「早稲田大学対明治大学」の試合をしていた。
外野席は700円。喫茶店に入る感覚でふらっと入場すると、一般客は100人ほどで、応援団による試合前のエールの交換と校歌斉唱が行われていた。
最初は明治大学。野太い声での「♪白雲なびく駿河台…」と想像していのだが、何とも埋め尽くせぬ違和感がある。
《なんでだろう? ああ、女性の声が主体だからだ》
腹から響き渡る低い男の声はほとんどなく、女子のチアリーダーが一生懸命、校歌を歌っている。
2008年に不祥事から應援團を解散させられてしまった影響がこんなところに現れているのかと少し残念な感慨に耽った。
さて、続いては早稲田大学の校歌だ。
「♪都の西北早稲田の森に…」。あまりにも有名な校歌だが、あれれ、こちらにも違和感が…。
《バンカラな校風はどこに行ってしまったのか?》
明治大学同様に女性の声が強い校歌斉唱だった。
たまたまこの日は女性の応援が多かっただけなのかもしれない。
でも私の知る20数年前に、こんな光景に遭遇したことは一度もなかった。質実剛健、豪放磊落を絵に書いたようなイメージだった2つの大学の変貌ぶりに驚き、隔世の感を味わった。
強い女性の時代である。