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敵は、いつも業界の外にいる

 既存事業に一心不乱に没頭していると、周囲で起こっている大きな変化に気付かず、新しい成長の機会を見失うことが多い。

 

 たとえば、レコードプレイヤーの延長線上には、CD(コンパクトディスク)やデジタルオーディオ機器の技術はなかった。だから、レコード針メーカーは、それまで積み重ねてきた技術に磨きをかけるしかなかった。

 しかしその結果、レコード針メーカーは、デジタル化に乗り遅れ、レコードが徐々に市場から駆逐されるのを指をくわえて見ているしかなかった。

 

 同じように、カーボン用紙を敷いて、複写紙をつくる発想からは、コピー機の技術は出てこない。

 また、一部のフィルムメーカーは、デジタルカメラの台頭になすすべもなく廃業に追い込まれている。DPEショップも同様だ。

 

 破壊的なイノベーションとは、いつも自分がよりどころにしている業界の外部から起こっている。

 

 とするなら、小売業の本当の意味での競合企業は小売業界内にはないかもしれない。

 われわれは自分の位置する業界のみならず、それ以外で起こっている変化に対してもっともっと謙虚でなければいけないだろう。