唐突な話ではあるが、「機械遺産」というのをご存じだろうか?
「歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的」に日本機械学会(東京都/金子成彦会長)が認定する制度で2007年からスタートしている。
認定指針としては――
① 機械技術の「発展史上」重要な成果を示すもの
② 機械技術で「国民生活、文化、経済、社会、技術教育」に対して貢献したもの
の2点。
2011年までに認定されたのは50の機械であり、それらをいくつか列挙してみると、
10A型ロータリーエンジン(マツダ)、ホンダCVCCエンジン、カブ号F型(ホンダ自転車用補助エンジン)、東海道新幹線0系電動客車、札幌市時計台の時計装置、としまえん「カルーセル エルドラド」、青函連絡船及び可動橋…など実に広範囲にわたっている。
そして、今年8月7日(機械の日)に2012年の「機械遺産」が認定された。
認定されたのは次の5つ。
① ステンレス鋼製車両群(東急5200系と7000系)
② 吉野山ロープウエイ
③ 池貝工場製第1号旋盤(現存最古の動力旋盤)
④ 卓上複写機リコピー101
⑤ ウォシュレットG(温水洗浄便座)
なかでも、快挙というべきは、家庭用機械として初めてTOTO(福岡県/張本邦雄社長)のウォシュレットGが認定されたことだ。
同機は、同社が1980年に製造・販売を始めた初代のウォシュレットで、もともとは医療器具であった製品を一般家庭向けに開発し直したもの。
以来、TOTOは、30余年間で約3000万台のウォシュレットを販売。国内のウォシュレット世帯普及率は71.6%にのぼり、いまや飛行機や新幹線はもちろん、海外市場への雄飛も果たしている。
TOTOは、「引き続き、日本人の生活様式やトイレの設備環境をよりよくするために、新製品開発に努めたい」とコメントしている。