メニュー

だけど業績良くっても“特需”は“特需”

“特需”とは特別需要の略称であることは小学生でもわかる。

 

 日本において最も有名な“特需”は、朝鮮特需だろう。1950年の朝鮮戦争勃発によって、在朝鮮米軍、在日米軍が食料・資材などの大量の物資を注文したことから、“特需”が発生し、日本に好景気をもたらしたものだ。

 他国の悲劇が自国の景気浮揚につながる、という皮肉で哀しい構図が朝鮮特需の正体なわけであるが、同じようなことが昨年も日本で起こった。

 

 3月11日に発生した東日本大震災の《復旧復興需要》という“特需”である。

 

 実際、小売業の世界でもこの恩恵を受けた企業が多かった。

 2011年度の上場小売企業252社の決算を見ると、増収企業は前年の108社から136社に、経常増益企業は150社から193社に大幅に増えている。

 業態別には、食品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンター、衣料専門店がとくに好調だった。

 

 そして騎虎之勢よろしく、2012年度の業績予想も、多くの小売企業が2011年度の好業績をそのままに強気で予算を組んでいる。

 

 ただ、“特需”とは特別需要の略称であることを考えると、こうした数字には懐疑的にならざるを得ない。

 なぜ、こんな数字が出てくるのか、と頭をひねらざるをえない企業もあるほどだ。

 

 株価を懸念してのことなのは分からないでもないが無理なものは無理とはっきり言い切る勇気も必要だ。

 “特需”を“特需”として切り離す決断がひいては、株主に対する誠実なIR(インベスター・リレーション)になるはずだからだ。

 

(『チェーンストアエイジ』誌2012年7月1日号では、恒例の「上場企業決算ランキング」を特集します。年間購読の方には、全データをダウンロードできるサービスを提供します。これを機にぜひとも年間購読をお申し込みください)

 

※誠に申し訳ありませんが、金曜日は会社に出社しませんので、6月15日~17日のBLOGをお休みします。