ユニクロ(山口県/柳井正社長)の「企業コラボTシャツプロジェクト」は、本当にすごいと感服させられる。
「企業コラボTシャツプロジェクト」とは、国内外で活躍する企業のキャラクター、ロゴ、パッケージなどをモチーフにデザインしたTシャツを販売するユニクロの人気企画。今年で10周年を迎えた。
2012年の参加者数は実に89社に上る。
「1枚1500円」とユニクロのTシャツにしては高めの価格設定だが、好調に売り上げを重ねている。
このプロジェクトのどこがすごいのかと言えば、各企業の大きな資産であるコーポレートブランドやプロダクトブランドを、「他人の褌」よろしく、ユニクロの資産として活用しているところである。
本来、余力があるならば、各企業は自社のブランドマネジメントの延長線上でTシャツ化し、販売したいところであり、あるところそれが理想形だろう。
実際、サントリー(大阪府/佐治信忠社長)は、同社の酎ハイ「カロリ。」の景品として、今夏、100種類の「カロT」シャツを合計1万人にプレゼントするキャンペーンを実施中である。
ただ、すべての企業がサントリーのように多額の販売促進費を使えるとは限らない。
規模がそれほど大きくない企業にとって、「企業コラボTシャツプロジェクト」は、販売促進的に見れば、渡りに船であり、Tシャツという媒体に広告を掲載しながら、いくばくかの収入を得ることができる。
その結果、ユニクロとその企業はwin-winの関係で結ばれ、双方に利益がもたらされることになる。
しかも、前述のサントリーにしても、「トリス」や「オールド」「モルツビール」などのブランドで「企業コラボTシャツプロジェクト」にいまなお参加しているのである。
そんな長年の信頼関係と実績が企業コラボTシャツ89社という大変な参加企業数につながっているのだろう。
ただ、ひとつ気になるのは、製造業や外食業は参加しているけれども、小売業は1社もないところ――。
それはさておき、「企業コラボTシャツプロジェクト」は、“コロンブスの卵”と言えなくもなく、どんなところにも商売のタネが転がっていることを改めて教えてくれる。