視聴率は低迷しているようだが、NHK大河ドラマの『平清盛』にはまっている。
見どころは、いろいろあるのだが、とくに異彩を放っているのが、俳優藤木直人さん演じる西行である。
西行の本名は佐藤義清(のりきよ)。北面武士として鳥羽院に仕え、将来を有望視されるも、数え23歳で出家。その際、着物の裾に取りつくわが子を縁側から蹴落としたという逸話を残す。
歌人としての仕事は突出しており、『新古今和歌集』に最多となる94首を入集させ、1500首余りを収録する『山家集』を遺している。
劇中、西行が興味深く描かれているのは、そのモテモテぶりである。
西行が放浪するところ、黄色い歓声を上げて女性たちが集まり、食物などを贈っていく。
もちろん、本当の西行はどうであったか知る由もない。
しかしながら、『平清盛』の中での西行は、いまで言えば、歌手で俳優の福山雅治さんか、ミスターチルドレンの桜井和寿さんか、というような吟遊詩人を彷彿させ、古の昔から才能のある色男を女性人は放っておかないという普遍的事実を垣間見せてくれるのである。