先週末に山梨県のワイナリー巡りのツアーに参加した。
温暖化によって国内のワイン醸造適地は、長野県に北上したと言われているようだが、どうしてどうして、山梨県のワイナリーもとても元気がいい。
訪問した四恩醸造(シオンワイナリー、以下:シオン)は2007年に設立された若い企業だ。
醸造・販売責任者の小林剛士氏(通称:つよぽん)は言う。
「ワイナリーは巨大化すると経営者はどうしても安定を好むようになる。従業員を食べさせていかなくてはならないのだから、それは悪いことではないのだが、ワインのイノベーションや活性化はどうしても後回しになってしまう」。
こんな考えのもと、つよぽんは、次々と新しい取り組みを実践している。
たとえば、シオンのワインボトルには品種名は記載されていない。「品種名を記載することで、お客様に固定概念を与え、そのワインの個性を否定してしまうことにもならないから」というのが理由だ。
「そのワインのよいところを探る点において品種名はないほうがいい」。
クローザー(栓)についても一家言を持ち、同じ商品に対してスクリューキャップとコルク(天然コルク)+蝋封(PP)を用意している。ただ、環境負荷軽減や利便性を追求するために基本的にはスクリューキャップを使っているのだという。
ワインを醸造所に寝かせて保管することもしない。「ボクの性に合わないし、高級なワインをつくる気もない」というのが、つよぽんの主張だ。
「若い人間がどんどん動いてガチャガチャとかき回さないと、ワインは固定された“食品”になってしまう」。
そんな危機意識から、つよぽんの取組はとどまることを知らない。
年間醸造本数は、1万2000本と零細規模ではあるが、つよぽんのワインは、リリースした途端、即、売り切れ状態になるなど、すこぶる評判がいい。
「これまでにない新奇な味覚がいい」と絶賛するのは、シオンのワインを取り扱っている飲食店の従業員。ボトル売りするだけの量を確保できないので、グラス売りで提供しているのだという。
さてさて、ウワバミの読者のみなさんは、ここまでくると飲みたいですよね。
いつかどこかでシオンのワインに出会う機会があるようでしたら、ぜひお試しください。