バブル経済絶頂期の1988年~91年ごろに人事の採用を担当していた。
当時を覚えている方には説明不要だろうが、好景気のために、新聞やアルバイト誌に募集広告を掲載しても、応募者は1人とか2人という状態が続いた。
需給バランスは完全に崩れており、社内からの求人要請は、常時20~30人。ことあるごとに「能なし」と罵られ、怒鳴られてばかりいたものだ。
いまの時代からは、とても想像もつかない事態だ。
でも、私は比較的冷静で、罵詈雑言を浴びるのがここでの仕事ととらえるとともに、こんなに人が集まらない時代は、きっと長くは続かないだろうと考え、人不足を楽しんいた。
そこに何か確固たる根拠があったわけではない。
ただ、良いことも、悪いことも、永続的には続かない。時代は変化するもの、と楽観的に考えており、それまでに自分が力を付けておこう、と目標を持っただけだ。
そうこうしているうちに、本当にバブルははじけ、今度は有効求人倍率が1倍を切るような時代がやってきた。
この間、わずか4年間――。
さて、小売業界は、新年度を迎える企業もあり、人事異動の季節を迎えた。
自分の願いのかなった方、不本意な方、それぞれだろうが、「人生いたるところに青山あり」だ。いま与えられた場所で、お互いにベストを尽くしましょう。