良好な環境下では、世の中を驚かせるような発見や発明は出てこない――。
『国家の品格』の著者である藤原正彦さんは、『週刊新潮』のコラム「管見妄語(かんけんもうご)」の中で、ノーベル賞受賞者は過酷で陰鬱な環境下で学んだ学者が多いと触れ、とてつもなく厳しい自然が人間を新しい発見・発明に向かわせるというようなことを書いていた。
小売業も同じだ。
足元商圏の薄さ、熾烈な競争、高齢化…。
逆に、環境が良すぎる企業は、現状に満足して、イノベーションに努めることなく、“殿様”となり、いつしか後発の企業に敗れ去っていく。
それが世の常なのであるが、所詮は他人事なのか、自社がその立場に追い込まれないことには気づかないケースが少なくない。
「わが社はどうなのか?」。
好環境に胡坐をかいていないか、常に自問自答しておきたいところだ。