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2012年も話題の中心は価格になりそうな予感だ

 2012年を迎えました。

 本年もよろしくお願いします。

 さて、新年第一弾のBLOGを以下に記します。

 新年は、再び、低価格に脚光が集まりそうな予感だ。
 

 景気は低迷を続け、国民の家計事情は、好転の兆しをみせる気配さえない。にもかかわらず、民主党税制調査会は、2015年に消費税率10%にアップする案を了承する。消費意欲を高揚させるような要因を見出すことは難しく、消費者はさらに財布の紐を固く締めてしまう可能性が大きい。
 

 米国でも状況は同じだ。昨年、インタビューをしたリテール ストラテジー センター社長のブライアン・ウルフさんは、「ウォルマートの低価格政策は、どの企業も脅威になっている。だから、中小の食品スーパーをコンサルティングで指導する際には、まずコストを削減し、ウォルマートとの価格差を縮めることから指導している」と話していた。

 FSP(フリクエント・ショッパーズ・プログラム)の世界的大家であるブライアンさんが、低価格の重要性を説くようになってしまっているのである。

 ということは、もはや、低価格であることは、競争の前提条件であるといっていい。

 とくに競合企業との立地、レイアウト、商品、品揃えや棚割、プレゼンテーションなどが似ており、同質競争をしている企業場合は、低価格でなければ勝ち目はない。

 もちろん同業他社との同質競争から脱却して異質化を目指す途もある。

 実際にヤオコー(埼玉県/川野清巳社長)やヨークベニマル(福島県/大髙善興社長)、阪食(大阪府/千野和利社長)、カクヤス(東京都/佐藤順一社長)、神戸物産(兵庫県/沼田昭二社長)、カインズ(群馬県/土屋裕雅社長)、コメリ(新潟県/捧雄一郎社長)、ユニクロ(山口県/柳井正社長)、ニトリ(北海道/似鳥昭雄社長)、アルペン(愛知県/水野泰三社長)、大創産業(広島県/矢野博丈社長)、スタジオアリス(大阪府/川村廣明社長)といったような企業は、かなり時間をかけて異質化企業を育成してきた。

 ただ、異質化実現に向けては、長時間を要するものと思われ、社内に革命的なことが起こらない限り、一挙に自社を異質化ポジションにシフトにすることは不可能だ。

 そう考えると2012年は、多くの小売企業にとっては、さらなる低価格競争をせざるを得ない状況が続くと考えられる。

 M&A(合併・買収)を実施することで構造的に価格訴求ができる企業規模拡大を目指すのか、旧態依然と身を削っての安売りを繰り返し弱体化していくのか、それとも長期ビジョンを持ち今から異質化を図っていくのか――。
 

 大きな決断の時を迎えているといっていいだろう。