憧憬のスターには、いつまでもそのままでいてほしい――。
自分の姿を鏡に映せば、そんなことはありえないとすぐに納得できる。できる、はずなのだけれども、自分のお気に入りの俳優、歌手、タレント…には、いつまでも同じ容姿であってほしいと身勝手な願望を持ってしまうものだ。
その意味から言えば、八千草薫さんや吉永小百合さんの齢の重ね方は素晴らしいし、あああってほしいものだと思う。決して昔からのファンを失望させるものではなかったし、今後も続いていくのだろう。
最近なら、富士フィルム(東京都/古森重隆社長)のビューティケア商品「アスタリフト」のTVCMで共演している松田聖子さんと小泉今日子さんだ。1980年代のトップアイドルがいつまでも枯れない様は、同世代の私に元気と勇気を与えてくれる。
高嶺の花には、枯れることなくずっと咲いていてほしい――。
昔のようなビッグスターが存在しなくなった現代でも、ファンの願いは、同じようなものなのではないだろうか?
そんなことを考えているうちに、私たちは、同じ思いを天才子役と呼ばれている子供たちにも馳せているのではないか、とふと頭をよぎった。
よく、天才子役は大成しないと言われているが、その根底には似たようなものがあるような気がするからだ。
古くは、ケンちゃんシリーズの宮脇康之さん、『黒ネコのタンゴ』の皆川おさむさん、フィンガー5の四男アキラ、『鳩子の海』の斉藤こずえさん、『おしん』の小林綾子さん…私たちは子役に対しても、成長や変化を願うのではなく、「変わらないでいてほしい」と考えてきたのではないだろうか?
将来の成長を先物買いする楽しみを提供するジャニーズの商法は別モノとして、男の子であれば、食べてしまいたいくらいに愛くるしかったチビちゃんが“変声期のニキビ仮面”に変身していく過程は、とても美しいとは言えない。
そう考えると、『崖の上のポニョ』の主題歌を歌った大橋のぞみちゃんが芸能活動を休止したり、子供店長として一世を風靡した加藤清史郎くんの姿をあまりTVで見かけなくなったりするのも納得がいく。
じゃあ、いま大ブームの渦中にある芦田愛菜ちゃんや鈴木福くんは、いったいこの先どうなってしまうのか?
単なる好奇の目を持って見守っていきたい。