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値上げラッシュでも主婦の財布の紐が”つい”緩んでしまう加工食品売場とは

昨今の値上げラッシュにより、以前より財布の紐が固くなっている人が増えています。以前なら気軽にカゴに入れていたものを買い控えるなど、購買意欲を抑制しながら買い物をし、支出を抑えています。第7回は実際に3人の子を育てる主婦である筆者が期待する「加工食品(ドライグロサリー)売場」について解説します。

Hakase_/iStock

なんでも値上げ時代における主婦の「加工食品」の選び方とは

 あらゆるものが値上げされている昨今、今までと同じように買い物をすると、食費が増加してしまいます。そのため、3人の子供を持つ5人家族の筆者の場合、「加工食品(ドライグロサリー)」について以下のような考えを持ち、買物をしています。

 まず、筆者は加工食品を、ペットボトル飲料、酒類、菓子類、乾物などの「ついで買い品」と調味料、缶詰、カレールーなどの「定番品」の大きく2 つに分けて考えています。

 「ついで買い」に分類している加工食品は、筆者にとって「なくては困る」というほどの商品ではないため、これらの商品を買い控えすることにより、食費の著しい増加を防いでいます。

 これまで気兼ねなく購入していたペットボトル飲料、酒類、菓子類などはやや購入頻度を落とし、これまでの支出額と変わらないように調整できないかを検討しながら買物をするようになりました。今までならあと一品カゴに入れていたところを買い控えるというようなイメージです。このように、「ついで買い」にあたる商品は、容易に買い控えたり、節約したりすることを検討してしまう商品です。

常備する加工食品の選び方とは

 後者の「定番品」にあたる商品は、値上げされていてもできるだけ同じものを購入し続けたいと感じています。調味料、缶詰、カレールーなどは、安易に変えてしまうと「わが家の味」さえも変わってしまうため、家族から好評な献立に使っている商品ほどできるだけ変えたくないのです。

 そのため、定番品の加工食品については、これまで通りの価格に近いほどありがたいと感じます。できれば、特売・大容量パック・まとめ買いなどで、一度に購入する量を少し増やしてでも単価を下げたいと考えているのですが、そうしたセールなどの機会はなかなかなく、結果として価格にかかわらずこれまでと同じものを購入することが多くなっています。

 このような定番品は、セール中か否かにかかわらず、平均的にいつも安く買える店舗がありがたいと感じます。「この店舗では他店より少しでも安く定番品を提供しようとしてくれている」ということは私たち消費者にも伝わっており、だからこそ「あのお店に行けばいつもあの商品が安い」という信頼感から、安心して買物にができるのです。

 一方で、筆者は「新たなわが家の味の開拓」を常に意識しているため、定番品である調味料、缶詰、ルウカレーなどの新しい商品にも注目しています。

 「まぜるだけで」「かけるだけで」「電子レンジで調理するだけで」など時短商品は手軽に新しい味を試せますし、本格的な料理に使うような調味料などは献立の幅を広げるのに役立ちます。

 売場ではそのような目新しい商品が陳列されていないか必ずチェックするものの、いつも同じような商品しかない店舗も多々あります。変化の少ない売場には安定感がある一方で、活気を感じません。そのため、そうした店舗ではたいていの場合、じっくりお店を見て回るというよりは、あまり感情を動かさずに欲しいものだけさっと買って帰ってしまいます。

値上げ時代の加工食品売場に期待すること

 加工食品売場は、どの店舗も同じ大手メーカーの主流商品ばかり扱いがちです。しかし、筆者は加工食品売場でどのような商品を扱っているかによって、店舗の個性が出ると感じています。

 たとえば、売れ筋とは別に、目新しい商品が入れ替わり登場するコーナーを備えた加工食品売場などをみると「工夫されているな」「頑張っているな」と感じ、販売意欲が刺激されます。

 先日、筆者が日ごろ利用する食品スーパーの別店舗を訪れた時のことです。その店舗の加工食品売場に足を向けると、いつも通っている店舗とは取り扱っている商品がまったく違ったのです。

 もちろん、すべての商品が目新しいわけではないのですが、「この加工食品はいつもの店舗では見たことがない」「この商品は利用したことがないので試してみたい」など、食卓の変化が期待できそうな商品がいくつもあり、頑張りや工夫を感じました。そして、店舗を何周もしたうえで、目新しい商品につい手が伸びてしまいました。

 このように、不思議と頑張りや工夫を感じる売場には、値上げ時代であっても、「つい財布の紐が緩んでしまう」のです。

 なんでも値上げされる時代だからこそ、決まった定番品はより安く購入したいものです。しかし、だからといって「よくある大手メーカーの主流商品」ばかりの店舗には、意外性を感じません。

 「こんな商品があったのか」と消費者に気づきを与えてくれるような提案力のある加工食品売場はまだまだ少ない印象なので、「今度はどんな商品を買おうかな」「また行ってみたいな」と買い物が楽しみになるような売場の増加に、今後も期待しています。