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押してもダメなら引いてみな

 日本中のどこへ行ってもオーバーストアの状態が続いている。
少子高齢化で人口は減少しているにもかかわらず、店舗数は増加をやめず、競争は激化の一途を辿り、安売り原資のない中での安売り合戦が繰り広げられている。

 

 では、競争環境から脱するために何をすべきか、を考えると大きくは2つある。

 

 ひとつには、徹底的に相手を打ちのめし、相手を潰してしまうことだ。こうすれば、競争はなくなる。

 

 もうひとつは、競争をしないことだ。それにも大きく2つの方法がある。

 

 一番めは、売るものを変え、サービスを変え、競争相手と徹底的に異質化を図っていくことである。相手と同じ土俵に乗らないのだから競争環境からは脱することができる。

 

 二番めは、競争相手と仲間になってしまうことだ。M&A(合併・買収)という手法もあるだろう。もっと、ゆるい提携というのもあるかもしれない。和睦によって戦争を終わらせてしまうのである。

 

 面白いと思うのは、競争をなくすためには、相手と戦う、相手と仲良くする、と相反する手法があるということだ。

 

 イソップ寓話の『北風と太陽』ではないが、「押してもダメなら引いてみる」という発想転換は、何事にも通じるような気がする。