10月1日、秋葉原に開業した「なでしこ寿司」が話題になっている。
場所は、JR秋葉原駅徒歩3分(東京都千代田区外神田3-12-15チチブ電機ビル2F)。「おでん缶」の自動販売機で有名なビルの2階だ。
コンセプトは女性が握る本格寿司――。「男性との比較では体温が高いためにネタが温まってしまい、すし職人には向いていない」という業界の定説を覆すべく錦織和也社長は立ち上がった。
すし職人(=アシスタントシェフ)募集の公募をかけたところ、応募者数は実に500人。内訳は大学生5割、フリーター5割。そのなかから30人の精鋭を選んだ。
“萌え系”が跋扈する秋葉原という土地柄ではあるが、錦織社長は、「『なでしこ寿司』は女の子ではなく、味で勝負したい」と断言する。
実際の研修は厳しく2週間余りをかけて、アシスタントシェフに15グラムのシャリを目隠ししても握られる感覚を覚えさせた。裏方では、板前さんがタネを揃えてバックアップする。
すべてのお客に食べてもらう3000円の「おまかせコース」では、にぎり10貫(本まぐろ中とろ〈サーモンチーズ炙り〉、本まぐろ赤身〈サーモン〉、赤貝〈甘えび〉、車えび〈カンパチ〉、生うに〈ずわいがに〉、あなご〈しゃこえび〉、いくら〈かに本身〉、たい〈かんぱち〉、いか〈ほたて〉)のほか、デコ巻、たまご、茶碗蒸し、野菜スープ、フルーツ盛り合わせがついてくる(〈 〉内は変更可能)。
「200年来の歴史を持つお寿司だが時代にあった形で提供したい」と錦織社長。
それでも、やはり日本の文化であるお寿司に対してお客の評価は厳しく、「握りが甘い」などの厳しい指摘を受け、再度、握り方と包丁さばきを勉強させるために、11月から平日はディナータイムのみの営業となった(土日祭はランチタイムから)。
「いまの出来栄えは70点」と錦織社長の自己評価は手厳しい。
「なでしこ寿司」が目指すのは、お寿司業界のスターバックスコーヒーだ。現在は秋葉原店1店のみの展開にとどまるが、多店舗展開を視野に入れている。
果たして際物として消えていくのか?
比類なきアイデアを持つ創業者として名をはせるのか?
いましばらくは静観したいところだ。