景気が低迷する中で、収入は伸びない。けれども、旅行などのレジャー費や携帯電話などの通信費は削れない――。
消費者は、この数年間、苦肉の策として、食費を切り詰めてきた。とくに相対的に割高の外食への支出を減らす傾向が見えてきた。
また、ミートホープ事件や冷凍餃子事件以来、安心・安全への関心は高まっている。
さらに、メタボ症候群対策としてカロリー、塩分、糖分、プリン体などの摂取をコントロールする流れも出てきた。
この結果、「内食回帰・自炊回帰」のトレンドが生まれ、定着しているわけだが、これまで消費者はどちらかと言えば、「節約のため、仕方がないからやっている」という感覚だった。
ところが、「ここに来て、『内食回帰・自炊回帰』の中身が変わってきた」と力を込めるのは某食品メーカーの役員だ。「どうせ、内食や自炊をするのであれば、いやいややるのではなく、料理をつくることや食べることをもっと楽しもう、という機運が芽生えてきているようです。実際、当社でも、楽しんでつくれるような類の商品が伸びていますので、いまは、それをバックアップできるシーン提案を心がけています」。
「エンジョイ クッキング」「ホビー クッキング」というような新しい概念も台頭しているようなので、食品を扱う小売業にとっては、またまた追い風が吹いていると言えよう。