市場自体がダウントレンドに突入してしまい、自助努力ではどうにもならない事業というのは存在する。いまの流通業界でいえば、百貨店がその典型だろう。コンパクトディスク(CD)が普及し始めた時のレコード針市場なども同じだ。技術革新にともない古い技術は駆逐される。その大きなトレンドは、誰も止めようがない。
6月末、トヨタ自動車の社長に創業家出身の豊田章男氏(53)が就任した。ご存じの通り、豊田章一郎取締役名誉会長の長男で14年ぶりの“大政奉還”と騒がれた。実力の有無は知るよしもないのだが、これはなかなか良い人事だと考えている。
未曾有の世界的大不況に引きずられる格好で自動車市場は大低迷。しばらく光明は見えそうになく、自助努力ではどうにもならない部分が多い。
新社長は、「創業家=会社の顔」として、外圧から企業を守る盾になる。その裏側で、企業は一丸となり、リストラ、R&Dや新事業の模索に専心、根底から企業の建て直しを図ればいい。企業がおかれている状況によって必要とされるリーダーの性質は異なる。
『チェーンストアエイジ』誌2009年7月15日号