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創業者社長だけが現業以外に事業枠を広げることができる

 私「流通業界にもサラリーマン社長がずいぶん出てきました。食品スーパーの嚆矢が紀ノ国屋だとするなら1953年の創業ですから、すでに業界ができてから50有余年、世代交代も進むはずですよね」

 

 創業経営者のKさん「そうだね。でもサラリーマン経営者が多くなると、経営にはダイナミズムがなくなっていくね」

 

 私「えっ。どうしてですか?」

 

 Kさん「そんなのは簡単だよ。そのサラリーマン経営者は、現業の経営しかできないからだよ。考えてもごらんよ。創業経営者からバトンタッチされたサラリーマン経営者は、その企業で頭角を現し、創業者に目を掛けられ、トップに立ったわけだろ。ということは、その現業をマネジメントする能力はあるけれども、それ以外は未知数だ。ダイナミズムがなくなるのは当然だよ」

 

 私「なるほど。確かにサラリーマン経営者の場合は、現業以外のことに手を出す人は少ないかもしれません。セブン銀行を立ち上げた鈴木敏文さんは実質創業者みたいなものだし…」

 

 Kさん「そうだろ。以前、ユニクロの創業者である柳井正さんが野菜を販売する事業を立ち上げたけれども、あんな突拍子もない不思議なことは創業者だからできるんだよ。創業者社長だけが現業以外に事業枠を広げることができるんだよ」

 

 私「ワタミの渡邉美樹さんも、居酒屋をドメインにして、学校から介護事業から、幅広く多角化経営に乗り出していますけれども、これも創業者です」

 

 Kさん「そうだよね。百貨店がなかなか次の活路を見いだせない理由のひとつには、そんなこともあるんだと僕は思っているよ」

 

 私「なかなか根の深い問題なんですね」