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森村市左衛門翁の名言4つ

 TOTO(福岡県/張本邦雄社長)の歴史資料館(北九州市)では、館長の山谷幹夫さんが編集した『TOTO語り継いでいきたい「先人の言葉」』という小冊子を配布している。

 TOTOの創業を支えてきた9人の先達による26の名言を集めたものだ。

 

 中でも、とても興味深かったのは、TOTOやノリタケカンパニーリミテド(愛知県/種村均社長)、日本ガイシ(愛知県/松下雋社長)、日本特殊陶業(愛知県/加藤倫朗社長)、大倉陶園(神奈川県/大矢晴男社長)、森村商事(東京都/森村祐介社長)など森村グループの創業者である六代森村市左衛門翁(1876年就任)の言葉。そのなかから4つを紹介する。

 

 1.人は、常に貸し方に立つべし

  人は、人や会社に対して、常に貸し方に立っていなければいけない。自分が受けるもの以上のものを貸しておく。それも「天に貸す。」という思いで働いていれば、いつかはきっと報われる

 

 2.利益はたらいの水のようなもの

  たらいの中に張った水を自分の方に引くと、水は反対側にいってしまう。逆に向こう側に押すと、こちらに返ってくる。同じように利益も自分独りで得ようとすると他人にとられてしまい、他人に与えようとすると不思議と自分に戻ってくるものである。

  他人に利益を与えることは正直でなければできない。相手が駆け引きをしても、こちらは真正直にやることに値打ちがある

 

 3.直言なければ事業の繁栄はない

  元来、直言は正直で親切で、忠義の人でなければできない。普通の人は、みな心にもないお世辞を使い、嘘をつく。それほどではないにせよ、直接悪口は言わないのが常だ。でもそれでは事業は繁栄していかない

 

 4.菓子折り一つでも取引先よりは受けないのが規則

  これはたいそう偏屈のようで、人の好意を受けぬというのも妙なもののように思われるが、実は偏屈でも潔癖でも、自慢でもない。自社の利害から考えてこういう物を受けるのは決して得策ではないと深く感じている