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映画業界は小売業界の縮図のようだ

 日本映画製作者連盟(東京都/大谷信義代表理事〈会長〉)は2010年の映画興行収入が2207億3700万円に達したと発表した。不況を尻目に2004年の2109億1400万円を超え、過去最高を記録、初めて2200億円の大台に乗った。

 

 邦画の興行収入は1182億1700万円で対前年度比0.8%増。これに対し、洋画は『アバター』『アリス・イン・ワンダーランド』『トイ・ストーリー3』の3本の3D(立体)映画が100億円を突破し、合計1025億2100万円で同15.5%の大幅増となった。

 

 鑑賞料金が2000円(一般)と高額な3D映画に牽引される形で、平均入場料金は1266円と同4%増となり、映画館の入場者数は同3.0%増の1億7435万人だった。

 

 洋画と邦画の興行収入上位3作は以下の通りだ(カッコ内は金額/配給会社)。

 

 <洋画>

 ①アバター(156億円/FOX)

 ②アリス・イン・ワンダーランド(118億円/WDS)

 ③トイ・ストーリー3(108億円/WDS)

 <邦画>

 ①借りぐらしのアリエッティ(92.5億円/東宝)

 ②THE LAST MESSAGE 海猿(80.4億円/東宝)

 ③踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!(73.1億円/東宝)

 

 昨日のBLOGで1本1000円の缶コーヒーが新しい需要を開拓する可能性を書いたが、映画の世界では、いみじくも付加価値のある高単価商品(=3D)が支持され、市場を拡大させた格好だ。

 

 まったく真逆の動きもある。

 大手シネマコンプレックスのTOHOシネマズ(東京都/中川敬社長)は、2011年から一部の県での鑑賞料金変更を発表。現在の「一般1800円、大・高校生1500円、中・小学生1000円」の体系を基本的に「18歳以上1500円、18歳未満1000円」にするとしている。

 

 「売上高=客単価×客数」であることは、誰もが理解できるところ。映画業界でも、企業ごとにさまざまな考え方と動きがあって、小売業界の縮図を見ているようだ。