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不況は文化をつくる、と思いたい

 街に出ると、その都度、景気が良くないことを実感する。

 休日は、「安い費用で、近い場所に、短期間だけ」のレジャーである「安・近・短」が隆盛――。

 ユニクロの創業60周年記念の大感謝祭は、早朝6時から長蛇の列。映画館も賑わっており、こちらも朝9時の開館前から長い行列。“巣ごもり消費”対応業の代表格であるTSUTAYAはいつも混雑している。美術展も連日満員で、「阿修羅展」や「ルーブル美術館展」などは、都内だけでなく地方でも多くの観客を集めた。

 その一方で、2008年の日本国の出国者数は約1599万人で対前年比131万人減と2年連続の減少(法務省)、海外旅行者の落ち込みが主因のひとつだ。百貨店の浮上の兆しはまったく見えず、あれほどの栄華を極めた高級ブランドビジネスは不調。「高・遠・長」の需要は弱ったままだ。

 

 ただ、長い目で見た時に、少し明るさを感じるのは、「安・近・短」のレジャーには、文化的なものが多いような気がすることだ。

 惜しむらくは、単行本の売上増や図書館の利用者増など「読書時間が増えている」というデータがないことだけれども、この不況を契機に文化的活動は、案外、活性化し、新しい時代の創造につながっていくのではないだろうか?

 「パチンコ」などのギャンブルも「安・近・短」のカテゴリーに入るので断言はできないが、「映画鑑賞」「VIDEO鑑賞」「美術鑑賞」の人気がその端緒になることを願いつつ…。

 

 「不倫は文化をつくる」という迷言を残したのは、ある有名タレントだが、私は一文字違いで「不況は文化をつくる」と思いたい。