税収38兆円。にもかかわらず国家予算は92兆円。単純計算で54兆円の赤字を出す日本政府を笑っていられない。
根拠なき安売りに没頭する小売業のことである。
たとえば、『チェーンストアエイジ』誌2010年7月1日号の特集「決算ランキング2010」のP61、食品スーパー上場41社の「売上高販売管理費率」ランキングを見ると、1位(以下A社:16.7%)と41位(以下B社、30.4%)の企業の差は13.7%ある。
100円で仕入れたNB(ナショナルブランド)商品であれば、A社は117円、B社は131円以上で売らないと黒字にならない。つまり、A社はB社と比較して、このNB商品について、14円の価格アドバンテージを持っていることになる。
こんな算数は、小学生でも理解できることだ。
ところが、実際の売場では、この原則が守られていない。
競合店に合わせる格好で儲けを度外視した廉売合戦が繰り広げられ、その結果、1品売るごとに赤字が累積していく。多くの従業員は、「おかしなことをしている」と気づいているけれども、誰もブレーキを踏まない。
安売りには、それを支える原資を確保する必要があるにもかかわらず、「まあ、自社が倒産することはないだろう」と楽観的な姿勢で、安売りに励んでいる。
その姿は、税収の2.5倍の額を使い続ける日本国の姿そのものだ。
今必要なのは、その安売りは本当に儲かっているのか、検証し見直すこと。価格競争以外の付加価値の高い(=粗利益率)商品を売るなどの戦略転換することだ。