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商品や店舗を抜本的に見直したいんです(前編)

 (商売人の)Mさん「少子高齢化、人口減少、競合激化によって、得も言われぬ閉塞感を感じています。そこから脱却するために、いま商品や店舗を一から見直したいと考えているんですよ。たとえば、商品の容量なども見直したい。そもそもカレールウのグラム数というのはどうして決まっているのですかね?」

 

 私「たぶん、1世帯当たりの家族の人数が基本になっていると思います。2人家族、3人家族、4人家族といった具合に。ルウの種類によっても異なりますが、250gだと12皿分。125gなら6皿分と表示されています」

 

 Mさん「でも核家族化を挙げるまでもなく、1世帯の家族の人数では容量を割り出せない時代になっていませんか。たとえば、同じ母子家庭でも、子供が息子なのか、娘なのかによって、食べる量はずいぶん違う。もちろん、子供の年齢によっても違います。ところが、カレールウの容量には、そんなに大きな変化は起こってないのではないですかね」

 

 私「多少、変えているんだと思います。また、個装化にも力を入れていて、ルウの容量は家族の食べる量に応じて調整できるようになっているはずです。ただ、おっしゃるように、抜本的に容量を変えたということはなかったかもしれません」

 

 Mさん「そうでしょう。やっぱりプロダクトアウト的な体質が容量を支配しているんですよ。じゃあ、消費者の立場で開発したというふれこみのプライベートブランド(PB)は消費者視点で容量を考えているかといえば、決してそうではなく、似たり寄ったりです。実際、ある有名な企業のカレールウのPBは200g。さきほどの計算で言えば10皿分ということになり、その根拠がどこにあるのかは見えてきません」

 

 私「確かにそうですね。PBのウーロン茶などの容量は2lと1500ml、500mlが主流です。味と価格については熟考しているのかもしれませんが、容量となるとどうなんでしょう。旦那さんが単身赴任のために、母娘で暮らしている知人がいますが、2lのペットボトルは、開けても飲みきれないで結局捨ててしまうと嘆いていました」

 

 Mさん「茨城県に本拠を構え、売場面積4万㎡という巨大ホームセンターを展開するジョイフル本田(小平武社長)という企業は、そんなプロダクトアウト的な商品のあり方を一蹴すべく、さまざまな試みをしています。たとえば花王の入浴剤であるバブの20錠入りパックを店舗でバラバラにしていろいろな香りを10錠にアソートし直して販売しています」

 

 私「そう考えると、消費者の立場を強調しながらも、小売業はまだまだ旧態依然。製造業寄りの商品が目立ちます」

 

 Mさん「そうなんです。それを一から見直したいのですが、どうしていいのかわからないから歯がゆいんです」

 

 (続く)