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“買い物難民”支援事業の問題は、そろばん勘定にある

 ローソン(東京都/新浪剛史社長)は、限界集落支援型店舗の「ローソン神石高原町店」(広島県)をオープンした。

 神石高原町が出資する「有限会社さんわ182ステーション」(広島県/上山実社長)がローソンとフランチャイズ契約を結び、同店を経営する。

 今後、移動販売車による訪問販売や廃校などを利用したサテライト店舗を開業する。

 

 ローソンは、また、有機・低農薬野菜などの宅配事業大手のらでぃっしゅぼーや(東京都/緒方大助社長)と合弁会社を設立する。農産物取扱強化のほか、宅配のノウハウ取得も目的のひとつとみられる。

 

 小売業による過疎地の“買い物難民”支援に拍車がかかっている。

 

 移動販売車や訪問販売などの“買い物難民”支援は、コープさっぽろ(北海道/大見英明理事長)や平和堂(滋賀県/夏原平和社長)、さいたまコープ(埼玉県/佐藤利昭理事長)、カンセキ(栃木県/長谷川静夫社長)など続々だ。

 

 ただ問題は、そろばん勘定にある。

 

 あるケータリングサービス企業の担当者は、「1週間前に注文締め切り。メニューを絞り込み、従業員1人が70~80件回ってやっと利益が残せるかどうか」と宅配事業の生産性の低さにため息をつく。

 

 つまるところ赤字事業では長くは続かない。黒字化に向けて業界全体が知恵を絞りだす必要がある。

 

 (『チェーンストアエイジ』誌2011年9月1日号)