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コープさっぽろ、新事業を次々と

 2477億5700万円――。

 今年、コープこうべ(兵庫県/櫻井啓吉理事長)を抜いて、初めて供給高(民間の売上高に相当)日本一の生協(生活協同組合)の座を獲得したコープさっぽろ(北海道/大見英明理事長)が新事業を続々と立ち上げている。

 

 これまでは、組合員の出資金をもとに食材の宅配や食品スーパーを展開してきた。

 2010年から事業の定義を「食のインフラ」と改め、宅配や食品スーパーに加え、新しいサービスを付加することで、差異化を図り、組合員に“食”を届けるミッションを果たすという。

 

 その裏側にあるのは、同生協が立脚する北海道市場の大きな変化だ。

 少子高齢化と人口減少、また大都市以外では過疎化が進む中で、アークス(北海道/横山清社長)、イオン(千葉県/岡田元也社長)グループとの競合は激化している。

 

 そこで、コープさっぽろは、健康な消費者を対象にする通常の店舗と個配(=トドック)に加え、①過疎地の高齢者対象に移動販売、②身体が弱った消費者を対象に食事の宅配を立ち上げた。

 

 まず、2010年10月からスタートしたのは、移動販売車の「おまかせ便」だ。これまでは、事業を継承した夕張市民生協(夕張市)内の圏内のみでの運営だったが、黒字化していることから事業拡大を決断した。

 2tトラックに1000SKUを積み込み、過疎地を走らせる。対象になるのは、半径800メートル内に商業施設を持たずクルマも運転しない30万~40万人。この秋までには21台を投入する予定で2~3年後には100台の確保を目指す。

 

 2つ目は、食事をつくることもままならない消費者に対して食事を届けるという事業だ。独居高齢者の安否確認事業を一歩進めたもので、食事を個別に最大週5回配達する。

 「飽きられないメニューの開発が大変。3か月間、違うメニューをつくり届けるために、センターを数か所つくる」と大見理事長は語っている。

 この延長線上にはさらに、独居高齢者の食歴を管理する健康管理事業などの発展余地がある。

 

 コープさっぽろは、低価格訴求に前のめりになっていた過去の政策を反省。その上で、組合員という特定多数に対して、同生協にしかできないサービスを提供し、市場が縮小していく北海道のなかで事業規模の拡大を図っていく。

 

 なお、コープさっぽろの大見英明理事長のインタビューは『チェーンストアエイジ』誌2011年8月1日・15日合併号で掲載いたします。お楽しみに。