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ナショナルブランドがあるからストアブランドがある

『チェーンストアエイジ』誌は、全国のチェーンストアに勤務するバイヤー約400人を対象にアンケート調査を実施した。

 

 その中の1問、「2009年のヒット商品は何ですか?」に、加工食品担当バイヤーは以下のように回答してくれた。

 

「辛そうで辛くない少し辛いラー油」(桃屋)、「カレー鍋つゆ」(ハウス食品)、「甘熟トマト鍋」(カゴメ)、「キリン フリー」(キリンビール)、「チップ チョップ」(明治製菓)、「ドロリッチ!」(グリコ乳業)、「パン de ショコラ」(おやつカンパニー)、「フィッツ」(ロッテ)、「ヘルシア スパークリング」(花王)…。

 ヒット商品不毛時代と言われて久しいが、一部のバイヤーの意見を取り上げてもこれだけあることに驚かされる。

 共通の特徴は、メーカーが研究開発費を投じ、マーケティングを実施し、技術革新(=イノベーション)に努め、新しい市場創造に成功したことだ。

 

「センミツ」(=ヒット商品の確率は1000分の3)が当たり前という現実にも負けないメーカーのR&D(リサーチ・アンド・デベロップメント)力には本当に頭が下がるばかりだ。

 

 一方、2009年は小売業が開発するストアブランド(SB)が大ヒットした年でもあった。ナショナルブランド(NB)をトレードオフすることで安価なSB商品を提供したいという小売企業の戦略があってもいいし否定はしない。

 しかしながら、小売業のSB戦略を直接的、間接的に、支えているのは、殊に加工食品の場合、メーカーであることを忘れてはいけないと思う。トレードオフの対象となるNBを開発製造しているのはメーカーだからだ。

 メーカーの飽く事なき、商品開発努力があるから、SBは成り立っていると言って過言ではない。

 第一、小売業がメーカーを系列化し、支配し、安価なSBばかりを製造したとしたら、なんと無機的で味気ない生活になることだろうか?

(詳しくは『チェーンストアエイジ』誌2010年1月15日号で)