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2009年7月、小売業は絶不調でした(ちょっと長文です)

 小売業界が絶不調である。

 

 2009年7月の主な企業の月次売上状況(既存店舗)は――。

 

 ・バロー(岐阜県/田代正美社長:食品スーパー事業)既存店対前期比6.4%減

 ・オークワ(和歌山県/福西拓也社長)同2.7%減

 ・ヤオコー(埼玉県/川野清己社長)同0.2%減

 ・マックスバリュ東海(静岡県/内山一美社長)同6.8%減

 ・エコス(東京都/平邦雄社長)同2.7%減

 ・マックスバリュ中部(三重県/中西進社長)同6.2%減

 ・ユニー(愛知県/前村哲路社長)同6.0%減

 ・DCM Japanホールディングス(東京都/久田宗弘社長)同8.4%減

 ・コーナン商事(大阪府/疋田耕造社長)同7.9%減

 ・コメリ(新潟県/捧雄一郎社長)同6.6%減

 ・アークランドサカモト(新潟県/坂本勝司社長)同5.7%減

 ・島忠(埼玉県/山下視希夫社長)同6.9%減

 ・スギHD(愛知県/米田幸正社長)同1.8%減

 ・カワチ薬品(栃木県/河内伸二社長)同3.1%増

 ・ココカラファインHD(東京都/塚本厚志社長)同0.8%減

 ・ツルハHD(北海道/鶴羽樹社長)同2.5%増

 ・CFSコーポレーション(神奈川県/石田岳彦社長)同0.9%減

 ・コスモス薬品(福岡県/宇野正晃社長)同1.4%増

 ・ローソン(東京都/新浪剛史社長)同8.7%減

 ・サークルKサンクス(東京都/中村元彦社長)同9.8%減

 ・ファミリーマート(東京都/上田準二社長)同7.3%減

 ・高島屋(大阪府/鈴木弘治社長)同12.5%減

 

 一部のドラッグストアを除けば、フォーマットには関係なく対前期を大きく下回る数字が並んでいる。

 

 ただし、食品スーパーの場合、「2008年は内食回帰・自炊回帰の“特需”があったので、2009年は2007年との対比で数字を見てほしい」とサミット(東京都)の田尻一社長が強調しているように“特需”分を割り引いて考える必要がある。“タスポ効果”が一巡したコンビニエンスストアも同じだ。

 

 季節商材が売上の多くを占めるホームセンターは、天候不順の影響を正面から受け、いたしかたないところがあるが、2ケタ減の百貨店は、現在のビジネスモデル自体が根幹から問われていると言えるだろう。

 

 7月の動きに象徴されるように、2009年に入ってからというもの、小売業を取り巻く環境は非常に厳しくなっている。新型インフルエンザ、長期化する梅雨、地震、竜巻などの天変地異も次々と起こり、消費意欲はなかなか上向かない。

 

 だが、こんな時だからこそ、経営者には冷静な分析と判断に基づいた対策を実施することが求められていると思う。

 

 とくに、売上不振の原因については、複合的な要因を項目ごとに分解して、対策を打ちたいところだ。

 

 たとえば、既存店舗の売上が対前年比で10%減少しているならば、その10%を「“特需”喪失分」、「商品単価下落分」、「競合悪化分」、「天候要因分」、「曜日要因分」などに分解する。構成要素の中には、「自社の力不足分」「自社のイノベーション不足分」、「自社のマーケティング不足分」という項目もあるはずだ。

 

 中には、手の打ちようのない要因もあるだろう。それらは後回しにして、付け焼刃だとしても効果のありそうな打ち手から施していく。

 

 絶不調だからといって、焦ったり、慌てたりする必要はまったくないと思う。大事なのは、反省に基づいて何かを始めることだ。

 

 以前にもこのコラムで書いたように、人間が生活している限り需要が絶えることはありえないのだから。