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ハブ&スポークシステムを生んだ男

 このところ、航空行政周辺がかまびすしい。

 

「ハブ」とか「スポーク」とか、聞きなれない言葉だらけなので、調べてみると面白い発見があった。ご存じのように、「ハブ」は自転車車輪の軸、スポークは「ハブ」から放射状に伸びた輻(や)のことを指す。

 

 ハブ&スポークシステムの発明者は、フレッド・スミスといい元アメリカ合衆国の海兵隊員。彼は退役後、ビジネススクールでハブ&スポークシステムについてひらめき、論文を提出する。

 《6か所の空港を直行便で結ぶと15本の空路が必要。しかし、ハブ空港を設ければ、5本の空路のみで済む》ことを発見したのだ。

 

 実に単純明快!

 

 自信満々の論文だったが、担当教授の評価は「C」と低いものだった。

 

「何くそ」と奮起したスミスは、1971年にアーカンソー州リトルロックで運送業を起こす。ハブ&スポークシステムを駆使することで、荷物の翌朝配達を実現した。

 

 故小倉昌男さんの著書『経営学』(日経BP社)では、ヤマト運輸の宅急便サービスもハブ&スポークシステムが土台になっている(P82)ことを明かしている。

 

 スミスの発明はノーベル賞ものの価値があったと言えるだろう。

 

 さて、スミスが起こした企業はその後どうなったのだろうか?

 

 運送会社の名前は、フェデラル・エクスプレス社(フェデックス)。

 

 世界最大の航空貨物郵送企業であり、220の国と地域を結び、航空機670機を所有、従業員数約14万4000人、1営業日当たり340万個以上の貨物を扱うまでに成長を遂げた。

 

 そして、起業意欲の火付け役となったスミスの論文は、テネシー州メンフィスに移った本社に飾られてある。