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田舎での公共事業は地域活性効果がない

 「田舎での公共事業は経済的に見て効果がない」と断言するのは、(前)鳥取県知事の片山善博慶應義塾大学教授だ。

 

 「ある寒村で一軒しかない食品スーパー(SM)が店を閉じてしまうと、住民は一気に不便を強いられるようになる。このときの行政課題は『生活物資』が買えなくなるということだろう。しかし、お役所というところは、解決策として道路整備をしてしまう。住民の大半が老人でクルマの運転ができないという状況を顧みない。SMを誘致して、その赤字分を補填する方がよっぽど住民の行政に対する満足度は高くなるのに、だ」。

 

 「その道路整備にしても、地域の経済刺激効果は大きく期待できない。事業の大半を占める用地獲得費を地主に支払ったとしても、地主はこれを消費に回すわけではないからだ。また、地主が高齢者の場合には、大都市に居を構える子息たちが大金を相続してしまい、地域には残らない。道路整備に使う資材にしても、他の都道府県に本社がある企業から買い付けることが多いので、投資費用は域外に流出してしまう。結局、投資の効果がありそうなのは作業をする方々の人件費ということになるが、これは全投資額の数%に過ぎない」。

 

 <マクロ経済的には正しい公共事業も、田舎では地域経済活性効果がない>

 片山さんの結論だ。

 

 (2010年1月14日 オール日本スーパーマーケット協会 新年トップ経営研修会の講演から)