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犬に見えない!

 「茨城県の地図を見てください。ほら、犬の形をしているでしょう」。

 小学4年生の時の担任がクラスに呼びかけた。社会の授業中のことだ。

 「見える、見える」と反応するのが優等生の面々――。

 続いて、優等生が周囲のクラスメイトに教え始める。

 「あー、なるほど」と第2陣、第3陣で理解できた生徒の声が上がる。

 

 次第に慌て始める私。

 〈えーと、えーと、見えないぞ〉。

 どう見ても、犬の形には見えない。

 

 「ねっ、見えない人いますか?」と担任の富山弥生先生――。

 恥ずかしいので、周囲に迎合して、ついつい合わせてしまった。

 

 不思議なもので、大人になるにつれて、茨城県の地図が犬の形に見えるようになってきた。もっと言うなら、犬の形にしか見えなくなってきた。

 

 それはそれで恐ろしいことなのだが、犬に見えなかった頃の自分に戻ってみたい気もする。

 

 茨城県の地図は、 

 http://www.mapion.co.jp/map/admi08.html 

 にありますのでぜひ、確認してみてください。