仕事でインタビューする際には、相手の了解をとってから、ボイスレコーダー(ICレコーダー)を回している。
あまり頼り過ぎるのは考えものであるが、ボイスレコーダーというのは取材者にとっては実に大きな武器である。
それというのも、ボイスレコーダーの音を文字化する(=テープ起こし)時に、自分が誤って理解していた事実を教えてくれるからだ。
取材の現場は、騒がしかったり緊張していることもあり、相手の話の意図を曲解しているケースが多々ある。
しかし、ボイスレコーダーの音を何度か聞くうちに、「ああ、実はこういうことを言いたかったんだ」「話がかみ合っていなかったな」と気づかされたことは数知れない。
それを修正して原稿に落とし込むことができる。本当にありがたいものである。
私がこの業界に足を踏み入れたころは、ボイスレコーダーは存在しておらず、録音機能付きのカセットテーププレイヤーを鞄に放り込んで、取材先に向かったものだ。
しかし2泊3日くらいの長い取材に出ると、鞄の中はカセットテープの山となり、そこにテープレコーダーの重さも加わり、ちょっとした苦行を強いられた。
それに比べて、現在使用しているボイスレコーダーの仕様は、「タテ98.5mm×ヨコ40mm×厚さ11mm」で質量51g(電池含む)。ボイスレコーダーには足を向けて寝られないほど感謝している。
ところでボイスレコーダーと言えば、「オリンパス」なのである。
BCN(東京都/奥田喜久男社長)の調査によれば、オリンパス(東京都/高山修一社長)は「ICレコーダー」シェアでは、2007年から2011年まで5年連続首位。直近は約40%に及んでいる。
『チェーンストアエイジ』誌記者陣に限って言えば、シェアは100%なのではないだろうか?
あえて説明するまでもないだろうが、製造者のオリンパスは、光学機器・電子機器の大手企業。2011年3月期の連結売上高は8741億円に上る。
周知のように、有価証券投資などの損失を長期間にわたって隠し続けたことが発覚し、一時、株価が8掛けにまで下落。連日、新聞を賑わせている。
経営者の不正は忌むべきこと、憎むべきことではあるのだが、お世話になっている「オリンパス」のボイスレコーダーを眺めながら、「お前は悪くないのにな」とつい思ってしまうのである。