サミット(東京都/杉並区)が東京都世田谷区に次世代型店舗となるサミットストア成城店を開業した。
売場面積2454㎡の成城店は、サミットの100号店めという記念すべき店舗であり、これまでにない斬新なMD(商品政策)を導入している。
新MDの1つめは、生鮮食品の加工度を上げたことだ。
「生鮮食品」を店内で調理して付加価値を付け、「ハーフデリ」や「総菜」として販売。消費者の要望に応えながら、競合との差別化を図り、かつ粗利益率の確保をねらっている。
2つめは、関連販売(クロスMD)の強化である。
青果サラダ売場近くで「マヨネーズ・ドレッシング」売場を展開する一般的な取組はもちろん。常温、冷蔵、冷凍という3温度帯のパスタ関連素材を集めた「パスタ関連売場」やスパイス(常温)+フレッシュハーブ(冷蔵)を集めた「ハーブ&スパイス売場」などの「超・クロスMD」にもチャレンジしており、見どころ充分である。
(なお、詳しくは、『チェーンストアエイジ』誌2011年11月15日号をお読みください)。
さて、サミットはこの店舗を開業するにあたって、全国さまざまな企業の店舗を視察して学んだのだという。
「高質食品専門館」で大ブレーク中の阪食(大阪府/千野和利社長)の店舗にも訪れている。なるほど、サミット成城店を拝見すると、「青果の量り売り」や「生鮮ハーフデリ」など売場の随所に、阪食の“臭い”を感じることができる。
そういえば、2006年に阪急百貨店(現:阪急阪神百貨店〈大阪府/新田信昭社長〉)に買収され、現在は阪食となったニッショー(大阪府)は、かつてサミットと同じAJS(オール日本スーパーマーケット協会〈大阪府/荒井伸也会長〉)に所属しており、仲間同士であったことを思い出した。
ニッショーは、医療機器メーカーのニプロ(大阪府/佐野實社長)の子会社。堀内彦仁常務取締役(後:ニッショー社長)と井上靖之取締役(故人)の名コンビで“ミールソリューション”の最先端をひた走り、1997年に開業したニッショーストア守口店は2人の代表作。売場面積2000㎡で31億円を売り上げる店舗に育て上げた。
しかし、その後の守口店は、年商13億円にまで低迷。この10月21日、阪食の手によって「高質食品専門館」の阪急オアシス守口店として、生まれ変わり、再起を誓っている。
「ニッショー」「AJS」「サミット」「阪食」――。
プレイヤーの変遷に奇縁と隔世の感を感じるとともに、食品スーパー業界の飽くことなき、イノベーション精神に感服させられる。